テーマパークでの出来事
ある週末、人気のテーマパークに行った時のこと。
テーマパークの中でも人気のアトラクションの列に並んでいると、私たちよりも少し前のほうに赤ちゃんを抱っこした夫婦がいました。その日は混雑していて、室内にすぐ入れるわけではなく、アトラクションの外の列で並び待つ必要がありました。
認めたくないお客さん!
そのアトラクションは、年齢や身長制限はありませんが、膝の上ではなくしっかりと一人で座席に座れることがアトラクションの利用基準になっていました。
従業員が「お子様も一緒にご乗車ですか?」の問いに「もちろんです! 乗れるから列に並んでいるの! この子は一人で座れるのよ」と女性は即答していました。
従業員は赤ちゃんを見て、一度確認をした方がいいと思い「一応、中で安全確認がございますので……。安全が確認できない場合は、ご乗車いただけませんのでご了承ください」と伝えた上で、女性たちを室内の列に案内しました。
アトラクションの室内に入ると、今度は室内にいる別の従業員と女性のやり取りが始まりました。
「こちらの乗り物は、お一人でしっかり座れることが条件になっております」と従業員が説明すると、「さっきも言ったけど、従業員同士連携がとれていないわけ? 座れるって言ってるじゃない! 腰は据わってるし。ちょっとくらいグラグラしても抱っこすれば問題ないでしょ」と女性は大声をあげました。
「申し訳ありません、膝の上は安全上ご遠慮いただいております」と従業員が言うと、「だったら、今ここで証明するから、見ていなさいよ!」と女性はヒートアップ。「この子は座れるのよ! これ以上何を証明すればいいの」と声を荒げました。
従業員が確認するも……
従業員が無線を取り出し、一人で座れるか確認するため、アトラクションの一時停止がアナウンスされました。当然、アトラクション周囲のお客さんもざわつき始めます。
他の従業員も集まり、「ご協力ありがとうございます。では、確認させていただきます」と言って赤ちゃんを乗り物に座らせようとしますが、やはり手を離した瞬間に赤ちゃんの体が傾きます。女性はそれを必死に支えようとしますが、従業員は「やっぱり厳しいです。危険ですのでご理解ください」と説得します。
それでもなお女性は納得せず、「は? 少しくらい傾いたくらいで大袈裟すぎるでしょ!? 何か問題でもあるわけ!?」と怒るのです。隣にいた旦那さんが「もう諦めて出よう」と声をかけるも「うるさい! 黙ってて!」と続ける女性。
「せっかく並んでいただいたので、お子様は安全上ご乗車できませんが、お父様かお母様だけでも乗ることは可能です」と、従業員もすっかりお手上げ状態。旦那さんは「俺が抱っこしてるから、乗ってきていいよ。ここまでして乗りたかったんだろ?」と女性に促します。
しかし、女性は恥ずかしくなったのか「……このまま出ます」と下を向いて呟き、その場から駆け足で去って行きました。
安全や周りへの配慮
どうしても乗りたいと思うほど楽しみにしていた気持ちは分かりますが、安全が第一。赤ちゃんにもしものことがあったら、全員が悲しい気持ちになります。今回は残念でしたが、子供は成長するもの。大きくなってからまた一緒に乗りにきているといいなと思った出来事でした。
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。