転勤の辞令
私が新入社員で配属された店舗は、関東の田舎にある従業員が100名にも満たない小さな店舗でした。そこで特に問題なく働いていたのですが、会社の通例で半年を過ぎると転勤をする必要があったのです。
そして入社して数か月後、新入社員の私にも初めての転勤の話がきました。
初めてで不安だらけの転勤
転勤先は、今いる関東から遠い仙台にある店舗でした。
初めての転勤が、まさか行ったこともない東北地方になってしまい、知人もいない中で環境に慣れることができるのかと一気に不安が押し寄せてきたのを覚えています。また、今の店舗と比べて従業員数も多い店舗。人の顔を覚えることが苦手な私は、正直やっていけるのかとかなり悩みました。
フォローしてくれる上司!
そのような中で退勤の準備をしていると、上司の鈴木さん(仮名)が「転勤先で不安なことがあれば、相談にのるよ」とスタッフルームで声を掛けてくれたのです。かくいうも、鈴木さんは仙台の店舗から、私の勤務していた関東の店舗に異動してきた人でした。
鈴木さんは私を隣に座らせると、スマホで仙台の店舗の人と撮った写真を何枚も見せてくれました。
そして、「この人が今度直属の上司になる人だよ。釣りが趣味だから、魚とか釣りの話をすればすぐに打ち解けられると思う! こっちがパートのベテランスタッフ。良い人だから、普通に接していれば大丈夫!」と、それぞれの従業員の担当売り場や、特徴を事前に詳しく教えてくれたのです。
鈴木さんの優しさのおかげで
鈴木さんのおかげで、不安でいっぱいだった気持ちも晴れ、少しだけ転勤が楽しみになっている自分に気が付きました。また、事前情報のおかげで、転勤先でもスムーズに馴染むことが出来たのです。
驚くことに、私は転勤に対する不安感を周囲に伝えたことはありませんでした。そのため、部下の気持ちを汲んで、親切に対応してくれた鈴木さんのことは今でも覚えています。
この時、転勤先の仙台で知識や経験を身につけ、いつかまた鈴木さんの部下になった際は、成長した姿で力になりたいと思いました。そして、私も上司になった時、部下の転勤時には寄り添ってあげたいと思ったエピソードでした!
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2019年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。