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これは、筆者がホームセンターで勤務していた時に起きた、クレーム処理に関する出来事です。商品に不具合があるとやってきた、とあるお客様。責任者である筆者が対応するも納得せず、クレーム内容はどんどんと飛躍していきます。そんな時、副店長の助け舟により、状況は一転したのです。

ホームセンターのクレーム

私はホームセンターで、家電用品やリフォーム、防犯用品の売り場責任者をしていました。責任者としては様々な仕事があるのですが、特に大変なのはお客様からの多種多様なクレーム処理。

時にはカンカンにお怒りになるお客様を長時間なだめることもあり、なかなか骨が折れる業務でもありました。

センサーライトの不良品?

ある金曜日の夕方、「おい、そこのお前! 防犯用品の担当者を呼べ!」といきなり怒鳴りだす男性客がサービスカウンターにやって来ました。

スタッフが要件を聞くと、「昨日買ったばかりのセンサーライトが、つかないんだよ! どうせ不良品だろ! ここの会社は不良品を売って儲けてるんだ!」と文句を次々と投げかけてきたのでした。

スタッフは真摯に男性の話を聞いていたのですが、「お前じゃ話が通じない! もっと上を呼べよ!」と怒りがおさまらない様子。

その騒ぎを聞きつけた私はサービスカウンターに直行し、商品の不具合を確認したいと伝えると、男性客は「早くしろ!」と言いながら商品を投げつけます。

しかしその商品は運悪く、一度預かってメーカーに状態を確認する必要がある品だったのです。その対応方法を丁重に説明した上で、土日を挟むため、結果をお伝えできるのは最短で月曜日ということもお伝えしました。それと同時に、手続き専用の伝票の控えをお渡ししました。

ブツブツ文句を言いながらも、「月曜にまた来る」と言い残し、その日は退店いただきました。

名前を変えただろ!

私としては丁寧に対応をしたつもりでした。しかし、その翌日に「おい! どんだけ時間かかってるんだよ! お前責任者だろ! なんで商品に詳しくないんだよ! どう見ても不良品だろ!」と男性客は激怒しながら来店してきました。

再度、月曜日までメーカーから返事がもらえないことを説明したのですが、
「それをなんとかするのが、お前たちの仕事だろ!? メーカーの言いなりになって客を蔑ろにするんじゃねぇよ!」と怒り出しました。気持ちはわからなくもないのですが、私たちでは手の打ちようもなく、それは前日に十分説明したつもりでした。再度それをご説明し、またお帰りいただきました。

しかし、なんと翌日も同じクレームを言いにきたのです。月曜日までは何もできないことを再度ご説明するも、男性客はヒートアップ。ついには、男性客は驚くべきクレームをつけてきたのです。

「お前、俺が怖いからって、最初の時と名前変えただろ!」

その店舗では、従業員は全員、胸元に名札を付けていました。それに目を付けた男性客は、私が『なかざわ(仮名)』と最初は名乗っていたのに、『ながさわ(仮名)』という名札に変更したと言い張るのでした。

もちろんそのような事実はないとお伝えしましたが、「お前の嘘は俺が暴いてやるからもっと上の者を出せ! ここの会社は客を馬鹿にする奴しかいないのか! こんな会社なんて、潰れちまえ!」と騒ぎ立てます。

私が対応に困っていると、あまりの状況を見かねてやってきたのは、副店長でした。そして、「先日お渡しした伝票の控えをご確認ください。間違いなく、『ながさわ』となっております」とお客様に確認を促しました。

急に証拠を突き付けられたのが応えたのか、男性客の顔がみるみるうちに青ざめていくのがわかりました。すると、何も言わずその場から逃げるように去っていったのです。

その後のお客様

そして月曜日になり、「メーカーで動作の確認ができましたので、お客様のご都合がよろしい時にご来店をお願いいたします」と私は男性客に電話を掛けました。

すると、男性客は「わかりました、ありがとうございます! 今すぐ行きますね。お手数おかけしました」と今までとは別人のように大人しい態度をみせました。

お客様にも、何か怒りが爆発してしまう事情があったのかもしれません。しかし、身も蓋もない従業員の人格を否定するような言動や、会社への暴言は許されることではありません。

クレームを入れる時こそ、冷静で落ち着いた態度が求められる。そう心から思った出来事でした。

【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2022年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。

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