ホームセンターの競合店
私が配属された店舗の周辺は、競合店と呼ばれる他社のホームセンターが数多くありました。そのため、自社オリジナル商品で差別化を図るだけでなく、同一商品の価格競争が頻発に繰り広げられていました。
企画
私が勤める会社では、様々な企画が頻繁に立ち上がっていました。例えば、2週間に1回チラシを配布したり、会員は割引になる商品を出したり。
また、そのほかにも店舗独自の判断で特定の商品の値下げをすることもありました。
それは近隣の競合店と同一商品の価格を比較した時、競合店の方が価格が安い場合にそれよりも値下げをし、お客様の購買意欲を高めようという作戦でした。
競合調査は休み返上!?
競合店の価格調査は専門の担当の方がいるのではなく、勤務年数の少ない正社員が割り振られて行いました。しかし、この後問題となるのは、そのやり方でした。
価格を調査する商品名がびっしり書かれているA4の紙1枚を1人ずつ渡され、いつ競合店へ調査に行くのか。なんとそれは、”社員の休日”でした。
また、商品名が同じ物でも、商品の枚数が異なる物は1枚あたりの価格を計算するということまで徹底されていたのです。その他にも、競合店の従業員の方に怪しまれないように商品の写真を撮らなければいけない等注意点が複数あったそう。
そもそも調査対象の商品の数自体が多く、各店舗で商品を探すのにも時間がかかりました。そのため、競合調査は休みが潰れてしまうことが当たり前となっていたのです。
当店に来る価格調査
逆に私が勤務していた店舗に、近隣のホームセンターの従業員が価格調査に来ることももちろんありました。副店長の上田さん(仮名)は競合店の従業員の顔を覚えているためいち早く気付き、「他店従業員による商品撮影はご遠慮下さい」と声を掛けるのでした。
業界あるある
価格は売り上げに関わる部分なので、調査の上で価格設定をするのはとても大切だと理解しています。しかし、せめて競合調査は休日ではなく、出勤日にさせてあげればいいのにといつも思っていました。
また、それと同時に、もっと簡単に価格調査ができるものがあれば良いなとも考えるのでした。
あの時の若手社員にとって、この仕事は重荷になっていたのではと未だに思い返したりしています。
【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2020年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。