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筆者がホームセンターに勤めていた時のことです。ある売り場で、頻繁に展示品がなくなると噂になっていました。その犯人は意外な人物で……!

朝礼で喚起される万引きへの注意

私が以前勤務していたホームセンターでは、毎日開店前に朝礼が行われていました。朝礼では、全体に共有しておきたい内容が伝えられます。

中でも店長が頻繁に注意喚起していたのは、万引きについての話。

「最近は商品の在庫だけでなく展示品でも万引きが発生しているので、各売り場担当者はしっかり対策するように。特に最近はカー用品やアウトドア用品がターゲットにされているので、レジに入る方は十分に注意してください」

カー用品とアウトドア用品売り場の担当は男性社員のB。朝礼でこの話題が出る度に「気をつけます」と応えていました。

それでもカー用品の展示品がなくなる

ホームセンターで取り扱う商品は、パッケージだけではイメージが湧きにくいアイテムも少なくありません。そのためお客さんが実際に触って「購入したい!」と思えるよう、多くの売り場では展示品を売り場に置いています。展示品は商品の在庫を開封しているため店舗では商品と同様に扱われ、最終的には割引をして販売されます。

ある日、Bがカー用品売り場でドライブレコーダーを箱から出して、見本品として設置していました。ドライブレコーダーはつい先日もBが設置していたような……そう思った私は「もしかして、ドライブレコーダーまで盗まれたんですか?」とBに尋ねます。

「そうなんだよ。売り場で一番高いドライブレコーダーが朝出勤したらなくなってて。店長の指示で新しい展示品を出すことになったんだ」

防犯カメラで確認すると……!

その日のお昼。私が休憩室に向かっている途中、事務室で店長と副店長が防犯カメラの映像を再生しながら話をしているのを見かけました。事務室の入り口付近にいた私の存在に副店長も気がつきます。

「休憩中にごめんね。ちょっとこの映像を見てくれる?」

店長に促される私。「誰に見える?」と、防犯カメラの映像を差す店長の指先の人物を見て仰天してしまいました。

「これ、Bですか?」

私がそう呟くと、「やっぱりそう見えるよね」と口を揃える店長と副店長。

閉店間近のお客さんも従業員も少ない時間帯、見本品のドライブレコーダーを取り外し、車に運ぶBの姿がはっきりと映像に映っていたのです。

店長の対応が功を奏したけれど

Bは店長と副店長に問い詰められると、「今まで展示品を盗んでいたのは自分です」と観念。やがてBはホームセンターを解雇されました。

実はこれまでの万引きの多発を受けて、店長らが本部に了承を得て既存の防犯カメラに加えて台数を増やしていたのだそう。Bはそんなことを知る由もなく、「死角だから大丈夫」と高を括っていたのかもしれません。

これまでの被害すべてがBの仕業ではないにせよ、まさか万引きの犯人がお店側にいたなんて……。防犯意識というのは常識の範囲外にも視線を向けないといけない、そんなことを痛感させられる出来事でした。

【体験者:20代・女性主婦、回答時期:2021年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐野陽菜里
大学卒業後、企業で管理職として活躍するも、妊娠出産を機に退職。育児しつつ、「自分の言葉で文章を書いて、発信したい」とライターに転身。接客業や恋愛のテーマを得意とし、日々インタビューをして情報を収集。

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