サッカー台で電話する男性客
私の働くドラッグストアには、お客様が袋詰めするためのサッカー台が設置してあります。ただ、狭いのが難点。その日もたくさんのお客様で混雑していました。
混雑の中、サッカー台の一部を占領し、長時間電話をしている70代くらいの男性の姿が。サッカー台のスペースがなく、困っているお客様もいたため、私は「すみませんが、お電話でしたら別の場所でお願いします」と注意しました。
男性はブツブツ文句を言いながらも退いてくれました。しかし、あろうことか今度は女子トイレの前で電話し始めたのです。
注意した私に「覚えてろよ!」
私と目が合った男性は、「ここならいいだろ?」と一言。しかし、場所が場所です。最近は、女子トイレののぞきや盗撮などの犯罪の影響もあり、男性が近くにいることを不安に思うお客さんもいます。私は再度男性に注意しました。
「女子トイレの前は、他のお客様も不快に感じかねません。やめていただけますか?」
すると、男性は一気に険しい顔つきに。その上、「覚えてろよ!」と絶叫。駐車場に停めた車へ乗り込んでいったのでした。
叫びながら店内に戻ってきた男性
ひとまず安心して店内に戻り、声をかけられた他のお客様に商品の説明をしていたとき。
「おい! そこの女! 謝れ!」
先ほどの男性が、叫びながら店内に戻ってきたのです。
大声を出しながら、私の元へまっすぐ向かってきた男性。しかし、私は接客中です。
「今こちらのお客様の対応中です。お待ちください」と男性に伝えても、「今すぐ謝れ! こっちはお前と違って忙しいんだ!」と聞く耳を持たず、耳元で叫び続けます。
男性からまさかの提案
「では、私は何に対して謝ればいいのか教えてください」
非がないからこそ、あくまで冷静に対応しようと、私は男性の目を見て言いました。しかし、男性は「謝れ!」の一点張り。10分ほど同じやり取りが続きます。
このままでは他のお客様のご迷惑になってしまうため、警察を呼ぶことも検討していました。
すると、男性自ら「もういい、警察を呼べ!」と提案があったのです。
数日後、来店した男性の変わりよう
その日は、警察の介入もあって事なきを得ました。そして、警察から男性について衝撃の情報が。男性は、他の店でも同じような問題を繰り返す常習犯。警察内でも要注意人物だったのです。
数日後、来店したその男性は非常に大人しく、私と目を合わせることはありませんでした。
必ずしも、毅然とした態度を続けることが事態を解決するわけではないと思いますが、理不尽な恫喝に屈して謝罪してしまっては、相手の要求がエスカレートしていたかもしれません。私は、このとき怯まず対応したことを後悔していません。
【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。