階段が「24個」に分割された理由
エッフェル塔は1889年、パリ万博の目玉としてお披露目されました。当時はエレベーターが未整備で、来場者は塔の内部にある螺旋階段を自分の足で上り下りしていたそうです。
その階段は1983年の改修工事で撤去され、エレベーターの近代化にともない24個のパーツに切り分けられました。そのうち4個はパリのオルセー美術館や、日本の山梨県にある吉井フォンダシオン庭園など、ゆかりの施設に展示されています。
エッフェル塔の一部が買える時代へ、あなただったら買いますか?
残る20個は同年の一般競売にかけられ、個人コレクターたちの手に渡りました。今もどこかの個人宅に"本物のエッフェル塔の階段"が眠っている可能性がある、というわけです。
40年間、誰にも知られず保管されていた一片
2026年、そんな一片が再びオークション市場に姿を現しました。出品したのはパリの老舗オークションハウス「Artcurial」。1983年の競売で最初に落札された区画で、以来40年以上、匿名のコレクターのもとで保管されていたパーツです。
高さ2.75メートル、直径1.75メートルの十字型の台座に14段の鉄製ステップが乗った姿はなかなかの迫力。かつて地上113〜276メートル(2階〜3階部分)をつなぎ、安全柵もない状態で360度パリを見渡せた、当時の"体験"の痕跡でもあります。
Artcurialの担当者は「単なる歴史の断片ではなく、1889年の空間を追体験できるタイムトラベルのような存在」だと表現しています。
予想を大幅に超える約7,300万円で落札
事前の予想額は12万〜15万ユーロ(約2,000万〜2,600万円)でしたが、実際の落札額はおよそ45万ユーロ、日本円で約7,300万円にまで達しました。予想額の3倍近い金額です。

こうした争奪戦は今回が初めてではありません。2016年に出品された別のパーツは、中国人コレクターの熱望により約52万3,800ユーロ(当時約6,800万円)という当時の最高額で落札されています。歴史的建造物の"かけら"というだけで、これほどの争奪戦が起きるのは驚きです。
もし「エッフェル塔の一部」が買えるなら
7,000万円は誰もがポンと出せる額ではありません。ですが、こうした話を知っておくと、次にエッフェル塔を訪れたときの見え方が少し変わってきそうです。
ちなみに日本でも、山梨県の吉井フォンダシオン庭園でエッフェル塔の階段の実物を見ることができます。7,000万円は無理でも、"本物の一部"を自分の目で見る体験なら、意外と手が届く距離にあるのです。
Photo:Magnific

