今回話題となったのは、AI技術を使って制作された雑誌の表紙です。一見すると実際に撮影された写真のように見えますが、登場人物はAIによって合成されたビジュアル。「本物の写真を使うべきだった」「なぜAIに頼るのか」といった批判の声が相次ぎ、波紋が広がっています。
「本物に見えるけど違う」表紙が物議
問題となったのは、米情報誌『ロサンゼルス・マガジン』の特別選挙号。同誌はロサンゼルス市長選を特集し、リアリティ番組『ザ・ヒルズ』で知られるスペンサー・プラット氏と、市議会議員のニシア・ラマン氏を描いたAI生成の表紙を公開しました。
表紙には「LA's Reality(LAの現実)」との見出しが添えられ、2人がまるでドラマの登場人物のように並ぶ姿が描かれています。背景には炎に包まれた街並みも描かれ、現実の政治とリアリティ番組を重ね合わせたような演出が話題となりました。
しかし、この表紙がAI生成だったことから、SNSでは「なぜ本物の写真を使わないのか」「雑誌の表紙までAIなのか」と批判が噴出。AI特有の不自然さを指摘する声も出ました。

なぜリアリティスターが表紙に?
スペンサー・プラット氏は、2000年代のロサンゼルスを象徴する人気リアリティ番組『The Hills』で知られる人物です。現在はロサンゼルス市長選に出馬しており、AIを使った選挙広告やSNSでの発信でも注目を集めています。
つまり今回の表紙は、「リアリティスターを面白く起用した」というだけではなく、実際に市長選を争う候補者の一人としてスペンサー氏を登場させたものです。もう一人のラマン氏も市長選候補であり、現職市長カレン・バス氏を含めた選挙戦の文脈で制作された表紙でした。

LA市長選に立候補したスペンサー・プラット。妻ハイディ・モンタグもリアリティ番組スター
本物で撮れず、AI案に
このAI表紙をめぐっては、制作の経緯も注目されています。報道によると、雑誌側は当初、実際の市長候補者たちを表紙に起用しようとしていたものの、候補者3人が一緒にポーズを取ることを拒否。その後、同誌の共同オーナーで弁護士のマーク・ゲラゴス氏がAIを使った表紙案を考えたとされています。
表紙ではスペンサー氏とラマン氏がAIで描かれ、現職のカレン・バス市長は人物としては登場せず、代わりに背景のモチーフで示唆されたと報じられています。
AI画像は、広告やSNSではすでに広く使われています。しかし、雑誌の表紙、とくに実在する政治家や候補者を扱う場面で使われたことで、批判は大きくなりました。
SNSでは「本物の写真があるのに、なぜAIを使うのか」「クリエイターや写真家を雇うべきだった」といった反応が相次いだと報じられています。
AIによるビジュアル制作は、今後さらに増えていく可能性があります。ただ、今回の騒動は、雑誌の表紙や政治報道のように“信頼性”が求められる場面では、AIの使い方がより厳しく問われることを示したケースといえそうです。
Photo:Aflo

