この問題は、英BBCの調査番組『Panorama』で特集され、出演者保護やメンタルケアのあり方をめぐって大きな議論に発展しています。
視聴者300万人超の人気番組
『MAFS UK』は、結婚式当日に初対面の相手と“結婚”する形式の恋愛リアリティ番組。視聴者数が300万人を超えることもある人気シリーズで、現在では放送局Channel 4を代表する番組の一つとして知られています。
なお、番組内の結婚は法的拘束力を持つものではありませんが、視聴者はカップルたちが“新婚旅行”へ向かい、その後共同生活を送りながら関係を築いていく様子を、ほぼ毎日カメラで追われる形で見ることになります。

出典:Channel 9
一方で近年は、出演者への精神的負担や制作体制についても議論が広がっていました。
「ノーとは言えない」と言われた
BBCが話を聞いた女性の1人は、番組内で“夫役”だった男性からレイプ被害を受けたと主張しています。
女性によると、撮影当初から相手男性の言動に「危険信号」を感じており、カメラが回っていない場面では突然激しく怒ることもあったと説明。不安を感じ、制作会社CPLの福祉担当チームへ相談していたといいます。
その後、性行為は次第に暴力的になっていったと女性は主張。「やめて」と伝えても相手は行為を続け、「ノーとは言えないよ。君は僕の妻なんだから」と言われたと証言しています。
さらに女性は、相手から「誰かに話したら硫酸をかける」と脅されたとも訴えており、「恐怖で完全に体が固まってしまった」と当時を振り返っています。
翌朝、彼女は番組の福祉担当チームへ連絡。体に残った痣の写真も撮影されていたと報じられています。
女性は、番組出演について、「番組に出演することに夢中になりすぎて、現実がどんなものか分からなくなってしまった」とも告白。そのため、不安を抱えながらも撮影を続けていたと説明しています。
しかし、数か月後に番組が放送されると、「あらゆる面で完全に落ち込んでしまった」と振り返っています。さらに、シリーズ放送が終了する前の段階で、彼女は番組の福祉担当プロデューサーへメッセージを送り、性的暴行を受けたと訴えていたとも明かされています。
「もっと守られるべきだった」
また別の女性は、放送前の段階で、Channel 4と制作会社CPLの両方に対し、番組内で“夫役”だった男性からレイプ被害を受けたと訴えていたものの、その後も自身の出演シーズンは放送されたと説明しています。
BBCが話を聞いた3人の女性は全員、番組内で関係を持った男性について問題があったと訴えており、「自分たちはもっと守られるべきだった」と感じているため、今回声を上げたと説明しています。
今回の問題を受け、放送局Channel 4は、「非常に深刻な申し立て」があったとして、『MAFS UK』の過去シーズンを配信サービスから削除。一方で番組側は、これらの主張について「裏付けがなく、争っている」としています。
今回の騒動を受け、イギリスではリアリティ番組における出演者保護や安全管理、メンタルケアのあり方に改めて注目が集まっています。人気番組の制作体制をめぐる議論は今後も続きそうです。
Photo:Aflo

