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仕事でお客様からの注文を受けると、納期や数量の調整に神経を使います。特に大きなイベントに関わるものとなれば、プレッシャーも一層強くなるものです。今回は、ドラッグストアで働く私が体験したエピソードを紹介します。

毎年恒例の注文

私が働くドラッグストアには、毎年秋まつりの前になるとジュースやお酒を大量に注文する中年の男性客がいました。ただ、毎年ギリギリに注文にくるため、対応に苦労していたのです。

今度は余裕を持って対応できるよう「今年も必要ですか?」と早めに確認したところ、「あぁ、今年は別のところで頼むから、必要ない」とそっけない返事。それでも一応、「もし変更になって注文することになったら、1週間前までにお願いします」と伝えておきました。

まさかの事態に

しかし、お祭り1週間前になっても男性からの連絡はありません。「今年は本当に注文がないみたいだね」と同僚たちと話していました。
ところが、お祭りの2日前になって突然その男性が来店。「やっぱりこっちで頼むわ。安いから」と言うのです。

正直、頭を抱えました。お祭り当日の受け取り希望だと言いますが、仕入れが間に合うかどうかギリギリの状況です。
私は慌てて発注し、「もしかすると数が足りない可能性もあります」と伝えると、「はぁ? 毎年買ってんだから何とかしろよ!」と強い口調で言われ、胸の中にモヤモヤが広がりました。

緊張の受け渡し当日

当日の朝、真っ先に納品を確認。幸い数量はそろっており、心底ホッとしました。開店直後、男性は関係者らしき人を数人連れて来店。裏口で商品を受け取ると、「来年も頼むわ」と言うのです。

私は思わず「来年はもう少し早めに注文していただけると助かります」と返しましたが、男性は「俺は客だぞ。そっちがちゃんとやれよ!」と吐き捨てるように言いました。その瞬間、ぐっと言葉を飲み込むしかありませんでした。

救いの一言

すると、一緒に来ていた若い男性から思いがけない一言。

「そもそも別のところに頼む予定だったのに、全然注文する気配もなくて、結局断られたんですよね? それでこのお店に急きょ対応してもらったのに、偉そうにするのは良くないと思いますよ」

その若い男性は改めて「本当にありがとうございました。来年は早めに注文しますね」と頭を下げてくれたのです。

人の優しさが沁みる時

接客をしていると、理不尽な言葉に心が折れそうになることがあります。でも同じように、思いやりや感謝の言葉に触れることもあります。そんなときは、人の優しさがより沁みます。今回の出来事は、私の心に残り続けています。

【体験者:40代・女性パート、回答時期:2025年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:hiroko.S
4人を育てるママライター。20年以上、接客業に従事。離婚→シングルマザーからの再婚を経験し、ステップファミリーを築く。その経験を生かして、女性の人生の力になりたいと、ライター活動を開始。現在は、同業者や同世代の女性などにインタビューし、リアルな声を日々収集。接客業にまつわる話・結婚離婚、恋愛、スピリチュアルをテーマにコラムを執筆中。

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