日本人同士の結婚でさえ、価値観の違いや家族間の思惑が絡み合い、一筋縄ではいかないことがあります。国際結婚となれば文化や習慣の違いが加わり、さらに複雑さを増すことも。時に親と衝突することもあるようで……。今回は、私の友人の結婚のエピソードをご紹介します。

反対を押し切って

私は社会人になってから、両親、特に父の強い反対を押し切り海外留学を決めました。安定した仕事を手放すことに両親は不安を募らせましたが、どうしても挑戦したいという気持ちが勝ったのです。

長年の夢だった語学留学。期待に胸を膨らませ、渡航しました。

しかめっ面の結婚式

数か月後、留学先で交際していた現地の男性との間に子どもを授かり、いわゆる「出来ちゃった結婚」をすることになりました。妊娠中で長期フライトはできず帰国は不可能。現地で挙式を行うしかありません。

父は大反対でしたが、母の説得もあり渋々渡航してくれました。結婚式には参列したものの、終始しかめっ面の父。そんな父を見て夫の家族一同も困り顔。私はせっかくの結婚式なのに心の底から楽しむことができませんでした。

ワールドカップ当日

挙式の翌日はたまたま、日本対夫の国のワールドカップの対戦日で、義両親が「両家で観戦しましょう」と自宅へ招待してくれました。

父が来てくれるか不安なまま迎えた当日。義両親がホテルまで両親を迎えに来てくれたとき、驚きの光景が広がりました。なんと父は日本代表ではなく、対戦国のユニフォームを着ていたのです。

しかも義両親は逆に日本代表のユニフォーム姿。私はその瞬間、不器用な父なりの精一杯の歩み寄りを感じ、涙がこぼれました。国境を越えた家族の絆を感じた瞬間でした。

不器用な父

それから数年経ち、今では両親は長期連休のたびに渡航し、私や孫、そして義両親を訪ねるほど仲良しになりました。

父は相変わらず不器用ですが、国際結婚を認め、家族を大切にしてくれる姿勢は揺るぎません。ワールドカップが開催されるたび、私はあの日のユニフォーム姿を思い出し胸が熱くなるのです。

愛情を言葉で表現できる人もいれば、文面で伝える人もいる。ユニフォームという一風変わった表現で示された不器用な父親の愛情。時に行動は言葉よりも人の心を揺さぶることがあるのです。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。