今回は、高校時代の後輩・道子さん(仮名)から聞いた不思議な体験をご紹介します。看護師として働く道子さん。ある日の夜勤明け、エレベーターで遭遇した出来事は今でも忘れられないエピソードです。

信じられない知らせ

エレベーターを降りた玲子さんは、そのまま廊下の奥へ歩いていきました。私も自宅へ入り、荷物を片付けていました。そして数時間後に外出した際、隣人と顔を合わせました。何気ない会話の中で、その人が言いました。「昨日、玲子さんのお通夜だったのよ」

私は意味が分かりませんでした。「えっ?」思わず聞き返しました。すると隣人は、玲子さんが亡くなった経緯やお通夜の話を続けます。聞けば聞くほど、背中が冷たくなりました。だって私は、ついさっきまで玲子さんと一緒にエレベーターに乗っていたのですから。

続いた不思議な出来事

信じられない気持ちのまま数日が過ぎ、後日、私は玲子さんの遺影を見る機会がありました。そこに写っていたのは、間違いなくあの日の玲子さんでした。

それからというもの、不思議なことが続きました。深夜、誰もいないはずの廊下から足音が聞こえたり、玄関前のセンサーライトが突然点灯したりすることもありました。

私は看護師です。仕事柄、できるだけ現実的に物事を考えるようにしています。だから「疲れているだけだろう」と何度も自分に言い聞かせました。それでも、ふとした瞬間にあの言葉がよみがえります。「いつもありがとうね」その声だけが、なぜか妙に鮮明だったのです。

最後のお礼

ある夜、うとうとしていた時でした。夢の中に玲子さんが現れたのです。玲子さんは生前と同じ穏やかな表情で、静かに言いました。「最後にお礼を言いたかったの」目が覚めた後、私はしばらく動けませんでした。

思い返してみると、私は以前、玲子さんの買い物袋を持ったり、体調を気遣って声をかけたりしたことがありました。私にとっては何気ない行動でしたが、玲子さんにはうれしい出来事だったのかもしれません。

不思議なことに、その夢を見た翌日から足音もセンサーライトもぴたりと止まりました。怖かった体験だったのは確かです。ですが今振り返ると、不思議な温かさも残っています。私は今でもエレベーターに乗るたび、あの日の玲子さんの穏やかな笑顔を思い出すのです。

【体験者:50代・主婦、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:佐藤 栄祠
大手メーカーの営業を経て、ライターに転身。会社員時代に培った経験と、組織の一員であるからこその“喜怒哀楽”をリアルに伝え、「誰かを癒したい」との思いが執筆の原動力。スピリチュアル関連情報にも精通しており、それらに傾倒する人の思いを描いたエピソードも好評。