出産の日が近づいて
私が第一子を妊娠し、まもなく臨月を迎える頃のことです。もういつ生まれてもおかしくない時期で、入院バッグも準備済み。夫婦でも「そろそろかもね〜」なんて話していたのです。
そんなある日、夫がなんだか言いづらそうな顔で、「あのさ……」と話しかけてきました。
夫から聞かされた『予定』
聞けば、友人たちから久しぶりに海釣りへ誘われたというのです。そして、「来週の土曜なんだけど、行っていい……?」と遠慮がちに聞いてきました。その瞬間、私は「え!?」とびっくりしてしまいました。「だってもう臨月だよ!?」と、思わず声も大きくなります。
でも夫は、「予定日はまだ先でしょ?」「まだ生まれないでしょ〜」と、どこか呑気な様子。その言葉に、私はさらにイラッとしてしまったのです。
久しぶりの友人との予定で、行きたい気持ちは分かります。でも、もしそのときに何かあったら……父親としてもう少し現実的に考えてほしい気持ちがありました。
予定は予定でも……
私は、「予定日はあくまで『予定』なの! ピッタリその日に生まれてくるわけじゃないの!」「あなたの遊びの『予定』とは違うんだから!」と反論しました。そして「しかも海の上なんてすぐ帰れないし……出産に立ち会えなくても知らないからね〜」と言ったのです。
すると夫はフリーズ。「え、そんな急に来る可能性あるの……?」と、一気に顔色が変わりました。やはり夫の中では、『予定日までは普通に過ごせるもの』という感覚だったようです。
「だからみんな、臨月に入ったらソワソワしてるんだよ!」と説明すると、夫はかなり撃沈。結局、海釣りは断ることになったのです。
それから少しずつ変わった夫
そのあと夫は、「次の健診はいつなの?」「陣痛ってどんな感じなのかな」と、急に出産について真面目に調べ始めました。私はその様子を見ながら、(こっちからちゃんと言わないと、リアルには想像できてなかったんだな……)と気づいたのです。
もちろん最初は夫の呑気さにイラッとしました。でも、今回のことでしっかりと危機感を持ってくれたようで、少し安心した出来事でもありました。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2025年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。