久しぶりのスポーツ観戦
私たち夫婦は昔から、よくスポーツ観戦へ行っていました。でも、子どもが生まれてからは、しばらくそのような機会も減っていたのです。そんなある日、夫がふと思い出したように言いました。
「そろそろまた観に行かない? 子どもたちも連れて行ったら楽しそうじゃん!」最近、5歳の息子はテレビでスポーツを見て興味を示すようになっています。とはいえ私は、「普通のおでかけでも大変だし、まだ無理じゃない……?」と不安です。
でも夫は自信満々に「大丈夫だよ!」「ちゃんと俺もお世話するからさ」と言います。それなら、息子にとってもいい経験になるかもしれないと思い、家族でサッカー観戦へ行くことになりました。
スタジアムで感じたモヤモヤ
当日、スタジアムは想像以上の盛り上がりでした。子どもたちも最初はテンションが高く、私自身も(来てよかったかも……)と少し思い始めていたのです。
ところが、夫は早々にビールを買い、すっかり観戦モード。試合に熱中したかと思えば、途中でスマホを見たり、歓声を上げたりしています。完全に『ひとりで来た人』のような自由さです。
その間、私は子どもに飲み物を渡したり、トイレに連れて行ったり、飽きないよう話しかけたり……(話が違うんだけど……!)と、だんだん夫への不満が募っていきました。
息子のひと言で変わった空気
そんなときです。隣で夫の様子を見ていた息子が、突然ケラケラ笑いながらこう言いました。「ねぇねぇ。パパ、なんかお家でテレビ見てるときみたい!」そこで私はすかさず、「リラックスしてるの、あなただけだよ?」と追撃。
夫は一瞬固まったあと、「……あ、俺なにもしてなかったね」と苦笑いしていました。その後は慌てて、「じゃあ次俺がトイレ連れていく!」と動き始め、私と分担しながら子どものお世話をしてくれるようになりました。
帰り道には、「子ども連れての観戦って、こんなに大変なんだな……」とぽつり。実際に体験してみて、やっと気づいた部分もあったのだと思います。
その日をきっかけに
それ以来、家族で出かけるときには、夫が自分から動いてくれることがかなり増えました。「トイレ大丈夫?」「お腹空いてない?」など、子どもたちのことを気にかけてくれます。
息子の無邪気なひと言が、夫を一気に現実に引き戻してくれた出来事だったなと、今でも印象に残っています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。