関東での暮らしと標準語生活
私は夫の仕事の都合で、関西から関東へ引っ越してきました。 生まれてからずっと関西で暮らしていたため、当然ながら普段の言葉は関西弁。しかし、「せっかく関東に来たんだから馴染まなきゃ」と思った私は、できるだけ標準語で話すよう努力していました。
買い物先でも、ご近所付き合いでも、パート先でも、慣れない言葉遣いにあくせくする毎日。無理やりがんばることでもないのですが、不便に感じると同時に、楽しさも感じていました。
突然怒鳴ってきた男性客
ある日、スーパーに買い物に出かけた日のこと。レジを終え買い物かごを返そうとしたのですが、通路に立っていた年配の男性客が邪魔になっていて通れません。私はできるだけ穏やかに、「すみません、ちょっと横にズレてもらえますか?」と声を掛けました。
すると次の瞬間……男性は突然私を睨みつけながら「女が偉そうに口を聞くな!!」と、大声で怒鳴ってきたのです。あまりにも突然のことに、一瞬頭が真っ白になりました。
そしてその直後、自分でも止められないほど自然に口が動いていました。
封印していた“関西の血”が爆発
「お前こそ誰に口聞いとんねん!! 女なら言い返さんとでも思っとんのかボケェ!!」気付けば、完璧な関西弁で怒鳴り返していた私。男性は想定外の反撃に圧倒されたのか、ブツブツ文句を言いながらその場を離れようとしました。
しかし、一度火がついたら勢いが止まらない私。「おい、何逃げようとしとんねんおっさん! 言い返されてビビるようなら、最初から口の聞き方には気ぃ付けとけ!!」と追撃。
男性はまるで化け物でも見たかのような表情になり、そのまま逃走。私も重たい荷物を持っていたので追跡はせず、逃げる男性の背中を眺めていました。
反省、それでも消えない関西魂
後から冷静になり「さすがに言い返しすぎたかもしれへん……」と少し反省。相手の暴言に腹が立ったとはいえ、自分もかなり強い言葉で返してしまったこと、そして感情的に追い打ちをかけてしまったことは、大人として良くなかったかもしれない……
相手に言い返す行為も危険も伴いますし、誰にでもおすすめできるものではありません。でも「無理して標準語を話していても、自分に染み付いた関西魂は消えることはないんだな」と感じ、少し嬉しくも思ったのでした。
【体験者:40代・女性販売員、回答時期:2025年10月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:タカダ ミオ
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。