『2人目ほしい』の温度差
私は上の子を育てながら2人目を望んで不妊治療に通っていました。夫も「2人目ほしい」と言っていたものの、「俺が行っても仕方ないでしょ」と、病院には一度も来ませんでした。
私は仕事を調整しながら通院し、その間は実家に子どもを預け、帰宅後はそのまま家事。正直かなりしんどかったですが、「こんなものかな」と自分に言い聞かせていました。
軽いノリで放たれた一言
ある日、夫の友人が家に遊びに来ました。何気ない流れで不妊治療の話題になると、夫が「うちは全部あきに任せてるんだよね。俺行っても意味ないし」と笑いながら話しました。
すると友人は、「え、なんで?!」と本気で驚いた様子。「それって夫婦の問題でしょ? 俺は毎回一緒に行ってるけど。ていうか、一緒に行かない選択肢あるんだ……」と反応。
さらに、「先生の説明も聞きたいし、あきちゃんも一緒のほうが心強いだろうし、行かない理由なくない?」と続けます。
初めて言葉に詰まった夫
その瞬間、夫は明らかに言葉に詰まっていました。さっきまでの余裕も消え、「いや……」と歯切れの悪い反応に。横で聞いていた私は、「それ! それが言いたかった!」と心の中で友人に拍手。結局その場はなんとなく別の話題になりましたが、夫はかなり気まずそうでした。
そしてその日の夜、「次の通院、一緒に行くわ」と夫からぽつり。理由は言わなかったものの、あの一言が刺さったのは明らか。
“夫婦の問題”になった日
それから少しずつ、夫も通院や話し合いに関わるように。もちろん、「私が何度言っても変わらなかったのに」と、少し複雑な気持ちもありました。でも、不妊治療を“夫婦の問題”として共有できるようになったのは、あの日の空気のおかげだったのかもしれません。
正論で責められるより、誰かに当たり前のように「一緒に行くものじゃないの?」と言われるほうが、人には響くこともある。そんな出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2023年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:橘 りお
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。