SNSが身近になった今、「日常を発信すること」は特別なことではなくなりました。 しかしその一方で、再生数や注目を優先するあまり、現実との境界が曖昧になってしまう人もいます。 今回は、友人のことえちゃん(仮名)が実際に体験した、「インフルエンサーのママ友」にまつわる衝撃的な話をご紹介します。

距離感のあるママ友

私の子どもと同じクラスに、ゆりちゃん(仮名)というママがいます。 ゆりちゃんはSNSで活動しているインフルエンサーで、フォロワーも多く学校でも有名な存在。

ママ友と呼べるほど仲がいいわけではありませんでしたが、子ども同士が仲が良かったため、保護者会で関わったことをきっかけに、会えば話すようになりました。とは言っても、ゆりちゃんはあまり人と深く関わらないようにしているのか、いつも一線引いている様子でした。

ちょっとしたケガ

ある日、同じ小学校のたける君(仮名)が、ゆりちゃんの娘さんにケガをさせてしまったという話を聞きました。といっても、悪意があったわけではありません。 たける君が振り返った瞬間、ランドセルが当たってしまい、その拍子に娘さんが階段から落ちてしまったそうです。

ただ、落ちたのは2段ほどの低い階段。 膝や手のひらを軽く擦りむく程度で済み、学校側も双方に電話で事情説明をして、そのまま大きな問題にはならなかったそう。私はたける君のママとも仲が良く、「たけるがケガさせちゃったみたいで……」と、世間話程度に話を聞いていました。だからこそ、“軽症で済んでよかった”という認識で、この件は終わったものだと思っていたのです。

「階段から突き落とされた」動画

しかし数日後、SNSでゆりちゃんの投稿通知を見かけます。何気なく動画を開いた瞬間、言葉を失いました。そこには涙を流しながら、「娘が同級生に階段から突き落とされ、大怪我をしました」と語るゆりちゃんの姿が映っていたのです。

「相手の親が怒鳴り込んできた」 「学校側が隠蔽しようとした」などの話まで混ざっており、コメント欄にはゆりちゃんを擁護する声が溢れていました。

私は「たける君のことを言っているのでは……」と思いながらも、断定できない微妙な内容に戸惑いました。たける君の話をベースに話を作っているように思えたからです。

動画を観ていると、たける君のママから震えた声で電話がかかってきました。どうやら同じ動画を見てしまったようでした。

再生数のための「脚色」

それから月日が経ち、動画の件も徐々に記憶から薄れていきました。そんなある日、私は別のママ友から衝撃的な話を聞きます。そのママ友はゆりちゃんと比較的親しく、休日に子ども同士を遊ばせる仲だったそうです。

ゆりちゃんと遊んでいるある時、雑談の流れでそのママ友が「そういえば、階段から落ちた時の話、思ってたより大変だったんだね」と話を振ったところ、ゆりちゃんは笑いながらこう言ったそうです。「あ〜、あれ? 再生数稼ぎにちょっと盛って話したの〜」まるで悪びれる様子もなく、軽い口調だったといいます。

さらにそのママ友は、ゆりちゃんについてこんな話もしてくれました。「ゆりちゃんって、人とあんまり深く関わらないようにしてるでしょ? ああやって話を盛って動画にすることが結構あるから、トラブルになるのを避けるためにそうしてるのよ」

そして、少し気まずそうに続けました。「実は私も、ママ友トラブルみたいな感じで動画のネタにされたことあるの。だから残念だけど、少しずつフェードアウトしちゃった」

信頼よりも数字を選ぶ人

もちろん、すべてのインフルエンサーがそうではありません。実際に誠実に発信している人もたくさんいますし、SNSで救われる人がいるのも事実です。ですが「再生数や注目を集めるためなら、事実まで脚色してしまう人が本当にいるんだ」ということに強い衝撃を受けました。

しかも怖いのは、動画を見ている側には真実かどうか分からないこと。涙を流しながら話されれば、多くの人は信じてしまうかもしれません。 その裏で、何もしていない人が悪者にされている可能性もあるのです。だからこそ「SNSで語られている話を、全部そのまま信じるのは危険かもしれない」と感じています。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:タカダ ミオ
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。