家族で温泉旅行へ
ゴールデンウィークに、家族で温泉旅行へ行くことになりました。こんなとき、荷造りはだいたい私の担当です。5歳の息子の分はもちろん、いつも夫の分までまとめて準備していました。
夫に「自分の分は自分でやってよ〜」と何度か言ったことはあります。でも、「お願い! 自分でやると忘れ物しちゃいそうだからさ〜」と毎回頼んでくるのです。(まぁ、いいか……)と結局そのまま、私が用意する流れになっていました。
旅館で気づいた忘れ物
当日、無事に旅館に到着し、まだ明るいうちにお風呂へ行こうと荷物を開けたときのことです。夫がふと手を止めて「あれ? 俺のパンツは?」と言いました。
「え? 入ってない!?」と慌ててバッグの中を確認しましたが、探しても見当たりません。どうやら本当に入れ忘れてしまったようでした。私は「ごめん……!」と謝りながらも、「でも売店にあるよね!」と気持ちを切り替えようとしました。
夫の言葉に息子が……
すると夫は笑いながら、「よりによって俺のパンツ忘れる?」「俺、真美より断然荷物少ないのにさ〜」と、からかうように言いました。私は(そもそも自分で準備してないからでしょ……!)と思いながらも、忘れたのは事実なので強く言い返せません。
そのときです。横にいた息子が夫をじっと見つめて、こう言いました。「パパ、自分の荷物は自分でしよっか!」どこか聞き覚えがあるその言い方……考えてみると、幼稚園の支度のとき、私が息子によく言っている言葉だったのです。それに気づいた私は、思わず大笑い。
夫も「……たしかにね。ごめんごめん(笑)」と苦笑いしていました。
思いがけず変わったこと
そのあと、売店で無事にパンツを買ってからお風呂へ向かいました。先ほどのやり取りを思い出して、自然と笑みがこぼれます。
この出来事があってから、夫は旅行のとき「自分の荷物は準備しとくわ」と言うようになりました。思いがけないハプニングと、息子の素直なひと言であっさり変わったのです。あのときの会話は、今でもクスクス笑ってしまうくらい心に残っています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。