ゴールデンウィークの帰省準備
私はゴールデンウィークに、2歳の娘を連れて実家へ帰省することにしました。新幹線の予約ができる期間になってすぐ、指定席を手配します。
娘はまだ小さいので膝の上に座れば無料です。でも、長時間の移動になることや窮屈だとぐずってしまうことを考え、きちんと娘の分も料金を支払って2人分の座席を確保しました。当日、無事に乗車して席に着き、ひとまずほっとしたのを覚えています。
車内で声をかけられて
連休初日ということもあり、指定席の通路まで混雑していて、立っている人も多い状態でした。その中で、私たちの横まで流れてきた60代くらいの女性が足を止め、「あら、小さいのになんで座ってるの?」「普通は膝の上でしょ?」と話しかけてきたのです。
突然の言葉に少し戸惑いながらも、私は理由をきちんと説明しました。ところが、女性は納得していない様子。「でも膝の上でも大丈夫よね〜?」「ちょっと、そこ座らせてくれない?」と続けます。
席はきちんと購入しているものなので、「それはちょっと……」と断りながらも、私は強く言い返すことができず……どう対応すればいいのか分からなくなっていました。
近くにいた夫婦の一言
そんなとき、近くにいた家族連れのご夫婦が、にこやかに声をかけてくれました。「うちも子どもがもっと小さいとき、そうすればよかったね〜」「たしかに。思いつかなかった〜! すごいですね!」あくまで雑談のような、やわらかい言い方でした。
でも、その言葉を聞いた女性は「……そう」と小さくつぶやき、そのまま別の方へ移動していきました。緊張していた空気がほどけて、私は思わず胸をなでおろしました。
あたたかい気持ちで
そのあと、ご夫婦に「ありがとうございます」と伝えると、「いえいえ、子ども連れだと大変ですよね」と笑って返してくれました。そのさりげない一言に救われたように感じます。
無事に座っていられることへの安堵と、周りのやさしさに触れたことで、それまで不安だった思いが和らぎました。あのご夫婦のおかげで、私は落ち着いた気持ちでゴールデンウィークをスタートすることができたのです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。