子どもの頃、ゴールデンウィークは誰にでもある当然の休暇だと思っていました。けれど大人になってから、その影には休まず働き続ける人々がいて社会を支えているのだと気づいたのです。果たして大型連休は本当に“ゴールデン”な日々なのでしょうか……今回は私のお客様の、ゴールデンウィークの忘れられないエピソードをご紹介します。

必死の連勤

当時、離婚直後の私は、二人の息子を育てるために必死で働いていました。勤務先は祝日や連休に出勤すると手当が上乗せされる仕組み。連勤するとさらに加算されるため、息子たちを実家に預けて連日出勤していたのです。

疲労困憊で帰宅すると、「ママにはGWないの?」と問う息子。「そうだね、今年はないかも。ごめんね」と答えると、「ママはGWに本当は何したいの?」と続けて聞かれました。

私は「あなたたちと、まったり海とかプールに行きたいなあ」と返答。すると「じゃ、来年のGWは海にいこうね」と優しく言ってくれたのです。

休息の一日

GWに入り、連勤の合間にようやく一日だけ休みをとることができました。どこにも連れて行ってあげられていないことを申し訳なく思い、「今日はどこに行こうか?」と尋ねると「ママとまったり海に行きたい」と即答する息子。

私は疲れから少し苛立ち、「海は来年って言ったでしょ」と返してしまいました。すると息子は「ううん、今日行けるよ」と言ってお風呂場へ向かったのです。

広がる海の香り

お風呂場には水着やジュース、お菓子が並び、空の湯舟には“海の香り”と書かれた入浴剤がまかれていました。「お湯は危なくて使っちゃダメな約束だから入れてないけど、今日はここで海ごっこしよ!」と息子たちは笑顔で言いました。

小1と年中の幼い二人が、なけなしのお年玉でジュースやお菓子、入浴剤を買ってくれていたのです。嬉し涙で視界が歪む中、三人で水着に着替え、湯舟に水を張り、水鉄砲やシャワーで思い切り遊びました。

さらにサプライズは続き、息子たちはゴールドのマニキュアをプレゼントしてくれたのです。「ゴールデンウィークのゴールデンって金色って意味でしょ? だからこの色にしたんだ」と説明しながら、長男は私の手、次男は足に、慣れない手つきで塗ってくれました。

ゴールドに輝く日々

驚いたのは、そのマニキュアが100円ショップの200円商品だったこと。当時の私は「100円じゃない商品は高くて買えないよ。もし買ったら今年はもうおもちゃが買えないからね」といつも言っていたため、息子たちは自分のおもちゃを諦めてまで選んでくれたのでした。

離婚前は毎月ネイルに通うのが趣味だった私。生活が苦しくなり遠ざかっていたことに、息子たちは気づいてくれていたのです。

GWの休みはたった一日でしたが、かけがえのない時間となりました。休みが終わっても、私にとっては毎日が金色に輝いています。息子たちが塗ってくれたネイルも、今も美しく光り続けています。

この出来事は、働くことの意味や家族の絆を改めて教えてくれました。私は毎年、ゴールデンウィークが近づくと、この息子たちの優しいサプライズを思い出さずにはいられないのです。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。