産休が明け、まだ小さな我が子を保育園に預けての復職。別れ際に泣きじゃくる子どもを見て、「仕事なんて辞めたほうがいいのかも……」と自分を責めてしまいました。そんな不安のどん底にいた私に、追い打ちをかけるようなママ友の言葉。しかし、その場を救ってくれたのはベテラン保育士さんの温かい一言でした。

「信じられない」0歳児預けへのマウント

私が産休明け、生後6ヶ月の娘を保育園に預けて復職したばかりの頃の話です。毎朝、園の玄関で泣きじゃくる娘。後ろ髪を引かれる思いで、「こんなに小さいのに預けてごめんね」と罪悪感に押しつぶされそうな日々を過ごしていました。

そんな時、上の子を預けに来ていた専業主婦のママ友・早苗さん(仮名)に呼び止められました。 「えっ、優子さん(私・仮名)、こんなに小さい子を預けるの? 母親の愛情が必要な一番大事な時期に可哀想に……。私にはちょっと信じられないわ」

「稼ぎがないと大変ね」哀れみの視線

一番痛いところを突かれ、言葉に詰まる私を見て、早苗さんはさらに畳みかけます。 「まあ、うちは主人の稼ぎがいいから私は子育てに専念できるけど、優子さんのところはそうもいかないのね。稼ぎがないと大変ねぇ……」

彼女は私を哀れむような目で見下し、周囲のママたちに聞こえるような声でマウントを取ってきました。私は何も言い返せず、ただ娘を抱きしめたまま、情けなくて俯くことしかできませんでした。

ベテラン保育士さんの「笑顔の反撃」

その時、私たちのやり取りを側で聞いていたベテラン保育士の先生が、柔らかな笑顔で割って入ってくれました。「あら、お母さん。この子はここで、私たち先生やたくさんのお友達にたっぷり愛されて、一生懸命に社会性を育んでいるんですよ。何も可哀想なことなんてありません」

早苗さんが「でも、母親と一緒にいないのは……」と口を挟もうとしましたが、先生はさらに続けました。 「お母さんが社会で生き生きと輝く姿を見せるのも、立派な『母親の背中』です。子どもはちゃんとその背中を見て育ちますから」

プロの言葉に救われ、前を向いた朝

先生は私の肩を優しく叩きながら、早苗さんにもう一言付け加えました。 「むしろ、お母さんが家でストレスを溜めて一人で抱え込む方が、お子さんにとっては悲しいことですよ。優子さんは、本当によく頑張っています」

プロの保育士さんから自分の価値観を真っ向から、かつ優しく否定された早苗さんは、顔を真っ赤にして逃げるように立ち去っていきました。

私の目からは思わず涙が溢れました。先生の言葉に、これまでの迷いや罪悪感が一気に溶けていくのを感じたからです。この日以来、私は胸を張って娘を預け、仕事に向かえるようになりました。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2024年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。