思うようにいかない日々
私は専業主婦で、2歳の息子を育てています。家で息子と過ごす時間はもちろん幸せですが、イヤイヤ期の真っ只中ということもあり、思うようにいかないことも多くありました。
何をするにも時間がかかってしまい、日によっては、家事がほとんど進まないまま夕方になってしまうこともあります。
夫の一言に募るモヤモヤ
ある日、仕事から帰ってきた夫に、私はぽつりとこぼしました。「今日ちょっと疲れちゃって、あんまり家事できなかった……」すると夫は、少し間をおいてからボソッとこう言ったのです。「仕事してる俺の方が疲れてると思うけどな」
私は返す言葉を失いました。働いてくれている夫に、感謝も尊敬もしています。それでも、毎日育児に向き合っている自分のしんどさを否定されたような気がしてしまったのです。(ちょっとくらい愚痴をこぼすのもダメなの……?)そんなモヤモヤが私の中に残りました。
義母の言葉に救われて
それからしばらくして、週末に義実家を訪れたときのことです。イヤイヤでぐずる息子の様子を見て、義母が私に声をかけてくれました。「絵里さん、毎日大変でしょ〜? 疲れてない?」本当はその言葉に甘えたかったのに、先日の夫の言葉が頭をよぎります。
少し考えて、私はこう答えてしまいました。「いえいえ……仕事の方がもっと大変ですから!」すると義母は、すぐにこう返してきました。「あら、もちろん仕事も大変だけどね。育児はまた全然違う大変さよ〜」
そして、「自分のタイミングで動けないでしょう? 食事もトイレも……」「私も専業主婦だったからよくわかる」と、笑ってくれたのです。その言葉を聞いて、私は思わず深く頷いてしまいました。今までうまく言葉にできなかった気持ちを、義母にそのまま受け止めてもらえたように感じたのでした。
少し変わった夫の言葉
そのやり取りを、夫は横で黙って聞いていました。その日は特に何も言わなかったのですが、それからしばらくして、少し変化がありました。帰宅した夫が、「今日もお疲れ様」と声をかけてくれるようになったのです。ほんの一言ですが、それがあるだけで私の気持ちはずいぶん違います。
お互いの大変さを比べるのではなく、それぞれの立場を認め合う。義母の言葉は、そんな関係でいられることの大切さを教えてくれました。
【体験者:30代・専業主婦、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。