何気ない会話の中で
友人のあやのさん(仮名)の家に遊びに行ったときのこと。あやのさんの夫は“こうあるべき”という固定観念が強いタイプでした。
その日は子どもたちの成長について友人夫婦などみんなで話しており、「部活でも勉強でも、なんでもいいから夢中になれる好きなことが見つかるといいよね」と和やかな空気で会話が進んでいました。
飛び出した価値観
そこへあやのさんの夫が、当時2歳の長男について口を挟みます。「好きなこと見つけるのはいいけど、オタクとかになったら最悪だな」「男なのにピンクが好きとか、メイクしたいとか言い出したらどうする? 正直本当に理解できないんだよね」とストレートに発言。
その場の空気は一瞬止まり、内心では誰もが「ずいぶん古い価値観じゃない……?」と戸惑いを感じながらも、大人たちはすぐに言葉を返せずにいました。
思いがけない5歳の一言
微妙な空気が流れる中、横で話を聞いていた私の娘(当時5歳)が口を開きました。「誰が何を好きでもいいんだよ。ピンク、かわいいじゃん。ネイルしたり、かわいいものが好きな男の子だってたくさんいるんだよ」
まっすぐで迷いのない言葉に、その場にいた大人たちは思わず拍手。空気が一気にやわらぎました。
柔らかい価値観
さっきまで自信満々に凝り固まった意見を主張していたあやのさんの夫も、その言葉が正論だと理解したのか、それ以上は何も言いませんでした。
なんとも言えない空気の中で、いちばん自然で柔らかい価値観を持っていたのが5歳の子どもだったことに、思わず大人たちからは笑みがこぼれました。
子どものほうがよほど自由で柔軟なのかもしれないと痛感し、同時にその大切な考え方を忘れないで大きくなってほしいと感じた体験でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2023年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Rio.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。