これは、私の友人・はるかちゃん(仮名)が経験した出来事です。まだ小さな子どもを育てながら地域の集まりに参加したとき、思いもよらない言葉をかけられ、戸惑いと悔しさを感じることに。しかし、あるご近所さんの「思いやりのある」ひと言が、その場の空気を一変させたのです。

突然の「会長お願いします」発言

ある日、私は1歳になったばかりの次男を連れて、町内の役員決めの集まりに参加しました。会場に着くや否やいきなり、「働いてないですよね? そしたら会長お願いしますね。他の皆さん働いていらっしゃるので」と、前役員の一人から声をかけられたのです。

私は現在、産休中。決して“働いていない”わけではありませんが、その場では圧倒され反論する余裕もなく、戸惑いながら話を聞くしかありませんでした。

子ども連れは非常識?

会長になる場合、月に一度ほど会議があると説明され、「子どもを連れて行ってもいいですか?」と質問しました。しかし返ってきたのは、「皆さん子どもは家に置いてきてますよ。21時までになることもあるので、小さい子を連れてくるのは非常識では?」という驚きの言葉。

さらに「その時間なら旦那さん帰ってきてるでしょ?」と言われましたが、夫は夜から仕事のトラック運転手。頼れる実家も近くにはありません。

事情を説明しても、前役員は大きなため息をつき、「じゃあ仕方ないですけど、お子さんを連れてきても良いです。本当は迷惑なんでダメですけど」と言い放ったのです。

空気を変えた、優しいひと言

あまりの言い方に、思わず言い返そうとしたそのときでした。

ご近所の斉藤さん(仮名)が、「あのね、そんなんだから次にやりたいと思う人がおらんくなるのよ! ここのお家はこの1歳の子と上に3歳の子がいて、子育て大変なんだからそんなのやらせなくていいの! 他の人に頼みましょ」と、はっきり声を上げてくれたのです。

その言葉に、場の空気は一変。前役員も思わず言葉を失ってしまいました。

「思いやりのある言葉」の大切さを感じた瞬間

斉藤さんの言葉に救われ、「会長は難しいですが、他の係ならお手伝いできます」と自分なりにできる形を申し出ました。結果的に別の役割を引き受けることになり、斉藤さんも「困ったことがあれば手伝うからね」と声をかけてくれました。

あの前役員はというと……、居づらくなったのか、そそくさと退室。一度は理不尽な物言いに驚かされましたが、思いやりのある一言は心に余裕と安らぎを与えてくれる。私もそんな言葉を選ぼうと思った出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:タカダ ミオ
ファッション専攻の後、アパレル接客の道へ。接客指導やメンターも行っていたアパレル時代の経験を、今度は同じように悩む誰かに届けたいとライターに転身。現在は育児と仕事を両立しながら、長年ファッション業界にいた自身のストーリーや、同年代の同業者、仕事と家庭の両立に頑張るママにインタビューしたエピソードを執筆する。