図書館やレンタルショップで私物を誤って返しそうになったことはありませんか? 急いでいたり、慌てているとついミスをしてしまいがちです。うっかり間違えて返却してしまったら、取り返しに行かなければならず……今回は、私の友人の恐怖体験をご紹介します。

スノボ旅行

私が友人たちとスノボ旅行に出かけた時のことです。ウエアはレンタルし、一日中滑って楽しんだあとに返却。その後、温泉や夕食を満喫しました。

ところが夜中になって思い出したのです。手袋だけは姉から借りたもので、それを間違えてレンタル室に返却してしまったことを。しかも国内では手に入らない限定カラーの高級ブランド品。なくしたら大変だと思い、友人を起こさず一人で取りに行くことにしました。

恐怖のエレベーター

レンタル室はホテルの地下1階。フロントの真下なので夜中でも人がいるだろうと安心してエレベーターに乗りました。

しかし、地下1階に着くまでの時間が異様に長いのです。ようやく扉が開いたものの、そこは真っ暗で非常灯すらなく、レンタル室も見当たりません。唯一の光は開きっぱなしのエレベーターの光のみ。どうしても手袋を取り戻したい私は、暗闇の中を手探りで進みました。

すると遠くで物音がし、思わず「夜分すみません、間違えて私物を返却してしまって……」と声をかけました。返事はなく、代わりに足音がカツーンカツーンと近づいてきます。恐怖に駆られた私は、開いたままのエレベーターに飛び乗り、震える指で閉まるボタンを連打しました。

再度地下室へ

自分の階には通常の速さで到着し、急いで部屋に戻って泣きながら友人を叩き起こしました。事情を聞いた友人たちはフロントへ行こうと提案。スタッフに説明すると、一緒に地下1階へ向かってくれました。

すると、さっきとはまるで違い、明るく非常灯もついていてレンタル室もすぐに見つかりました。スタッフが鍵を開けてくれ、姉の手袋を無事に受け取ることができたのです。

解けぬ謎

エレベーターに乗ろうと振り返ると、扉は閉まっています。私は「さっきはずっと開いていたのに……」と不思議に思いながら、上ボタンを押すとエレベーターは開き、そして部屋へ戻りました。

あの日の真っ暗な地下室、近づいてきた足音、そして開いたままのエレベーター。その正体は今も分からないままです。

非日常の恐怖は、思いがけない瞬間に日常へ入り込んでくることがあるのかもしれません。あの夜の地下室の謎は解けないまま、今も心の奥に影を落としています。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。