私の元同僚・加藤さん(仮名)が働く会社では、定期的に部署内で飲み会を開催しているそうです。希望者だけのゆるいイベント感覚でしたが、ある同僚が「どうしよっかなぁ……」と誘われ待ちするのが毎回の流れ。周りは少しだけ困っていましたが、居合わせた課長のひと言で思わぬ展開に!?

部署の飲み会と出欠表

私の会社では、定期的に部署内で飲み会が開かれています。とはいえ、あくまで希望者だけの自由参加です。休憩室に出欠表が置かれ、参加する人が名前を書くというゆるいスタイルでした。

ところが、その出欠表が置かれると、同僚の山崎さん(仮名)が決まってこんなことを言うのです。「また飲み会ですか〜? 私どうしよっかなぁ……」「別に行けるけど、でもな〜……」

同僚といつものやり取り

最初の頃、その様子を見て周りが「せっかくだし来なよ〜!」「山崎さんが来ると楽しいし!」と声をかけました。山崎さんも少し迷うそぶりを見せながら、どこか嬉しそうに名前を書いていました。

それからというもの、『一旦迷うふりをして、誰かに誘ってもらう』という流れが、いつの間にか定番になっていったのです。山崎さんは毎回参加しては、楽しそうに過ごしています。周りもなんとなくそれを分かっていて、「来なよ〜」と声をかけるところまでがセットでした。

とはいえ、毎回同じやり取りになるため、内心では(また始まったな……)と少しだけ苦笑いしてしまうこともありました。

会話を偶然聞いていた課長

そんなある日、いつものように山崎さんが「どうしよっかなぁ」と言っていたときのことです。たまたま近くにいた課長が、そのやり取りを聞いていました。そして、少し驚いたようにこう言ったのです。

「え? 強制じゃないから、嫌だったら遠慮せず欠席でいいからね!」その言い方は冗談ではなく、本気で心配しているようでした。さらに続けて、「まさか誰か、無理に誘ってるとかないよね……?」と周りを見渡します。

その瞬間、場の空気が少し静まりました。山崎さんは「いや、そういうわけでは……」と気まずそうに笑うしかありません。

それから変わった空気

課長はほっとしたように頷きながら、「よかった〜。本当に、参加は自由だからね!」と念押し。その本気のトーンに誰も何も言えないままです。

山崎さんもいつもの調子を出す間もなく、そのまま気まずそうに出欠表に名前を書いていました。あれだけ毎回あった『お決まりのやり取り』が、課長のひとことであっさりと消えた瞬間でした。

それ以来、山崎さんは「どうしよっかなぁ」と言うことがなくなり、普通に名前を書くようになりました。周りも『あのやり取り』がなくなったことに、ちょっと助かったと思った出来事です。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。