薄明かりの差す朝方、スマホに非通知の着信が1件届きました。誰も起きていない静かな時間に、突然かかってきた見知らぬ電話。今回は、筆者の友人しずかさん(仮名)が実際に体験した、少し怖くて、だけどどこか温かい不思議なエピソードを紹介します。

早朝に響いた祖母の声

まだ空が白み始めた早朝、突然スマホが鳴りました。画面には「非通知」の文字。こんな時間に誰だろうと、少し嫌な予感がしました。

ためらいながら通話に出ると、ザーッというノイズの奥から声が聞こえました。それは、数年前に亡くなった祖母の声でした。

「今日はやめなさい」短く、冷たく告げると、通話は一方的に切れてしまいました。

迷いと不安

その日は、本当は車で遠出する予定でした。しかし、祖母の声が頭から離れず気が進まなかったので、結局出かけるのをやめ、家で静かに過ごすことに。

外の早朝の静けさがいつもより不気味に感じられ、電話の声は幻だったのか本当に祖母だったのかと、胸がざわつきました。

ニュースが告げた恐怖

その日の昼前のことです。何気なく見たニュースに震えが走りました。予定していたルートで大きな事故が起きていたのです。

もし早朝に出かけていたら……。その想像だけで背筋が凍りました。そしてあの声が、ただの幻ではなかったことを、痛感せざるを得ませんでした。

祖母の声は今も

それ以来、祖母からの電話は1度もかかってきていません。しかし、あの朝のノイズと短く告げられた言葉は、今も心の奥に深く残っています。

今でも、ふとスマホに目を落とすたびに、あの声がもう一度聞こえてくるのではないかと、無意識に身構えてしまうことがあります。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2024年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。