新入社員の姿を見るたび、そのフレッシュさがまぶしく感じられる四月。初々しさやエネルギーに満ちた姿は、こちらにも良い刺激を与えてくれます。目標に向かって頑張る後輩を応援していたのですが……今回は、私の後輩のエピソードをご紹介します。
憧れの職場
私は脱毛サロンで働いています。後輩Sは専門学校を卒業後に新卒採用で入社しました。Sに志望動機を尋ねると「子供の頃から親が絶対に眉毛や産毛を剃らせてくれなかったんです。『剃る=不良だ』って。それでずっと脱毛に憧れていて、大人になったら絶対に脱毛サロンで働きたいと思っていたんです!」と語ってくれました。
確かにSは体毛が濃いタイプで、思春期に剃らせてもらえなかったことは、彼女にとって大きなコンプレックスだったのです。
新しい夢
入社後のSの仕事ぶりは素晴らしく、スタッフからもお客様からも厚い信頼を得ていきました。しかしある日、Sは店長に退職を申し出たのです。
理由を聞くと「新しい夢ができたんです。歯科衛生士として働きたくて」と。Sはサロン勤務の傍ら夜間学校に通い、国家資格である歯科衛生士の試験に合格していたのです。
スタッフ全員がSの退職を惜しみましたが、新たな挑戦を心から応援し、送別会では全員が涙しました。スタッフやお客様に惜しまれながら、Sは歯科衛生士として新たな一歩を踏み出したのです。
まさかの再会
それから数年後、なんと再びサロンの採用面接に現れたS。
理由を尋ねると「小さい頃から自分の口髭がコンプレックスで、人の口髭も気になってしまうんです。歯科衛生士として働いていた時も、患者さんの口髭ばかりに目がいってしまって。このままでは医療ミスを起こすかもしれないと思ったら怖くなって退職しました。やっぱり脱毛サロンが私には向いているみたいです!」と、驚きの答えが返ってきました。
夢のかたち
「いつか口髭コンプレックスがなくなったら、また歯科衛生士として働くかもしれません。でも今は脱毛サロンで働くことが私の夢です!」と語るS。国家資格を持ちながらも、彼女は今も脱毛サロンで生き生きと働いています。
自分のコンプレックスを嘆くのではなく、働く原動力に変えたS。その姿を見て、誰しもコンプレックスは抱えているものの、それをプラスに転換することができるのだと、改めて実感しました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。