我が子が大泣きして何をしても泣き止まない時。もし虐待と間違われて通報されてしまったらどうしよう、と不安になった経験をお持ちの方もいることでしょう。もちろん虐待などしていないのに、あらぬ容疑をかけられたとしたら……今回は、私の友人の実体験をご紹介します。
ワンオペの日々
数年前、私は二人の子どもを抱え、出張の多い夫の協力を得られないままワンオペ育児を続けていました。
朝から晩まで子どもたちの世話に追われ、休む暇もなく過ぎていく毎日。それでも、子どもたちの笑顔に支えられ、なんとか踏ん張っていたのです。
突然の虐待容疑
ある日、珍しく夫から着信。通話開始ボタンを押すと「お前、〇〇(息子)のこと虐待してるっておふくろが言ってたけど本当か?」と夫。衝撃的な言葉に、私は耳を疑いました。もちろん虐待などしているはずがありません。私は「してないよ! どういうこと?!」と即座に返しました。
すると夫は「おふくろが『この前〇〇がずっと“ごめんね、ごめんね”って言っていた。こんなに謝る子はおかしい』と言っていた」と告げてきたのです。
私は「ごめんねを連呼なんてしてないよ。お友達をたたいたりした時に謝るように伝えているだけ」と必死に説明。しかし夫は納得せず、「じゃあ悪いことをしたらすぐ謝らせてるってことだろ」とさらに問い詰めてきました。
ごめんねの正体
その時、寝ていた息子が起きてきて「これねーね?」と私に聞いてきました。私は「これはねーねじゃなくて、パパと電話してるんだよ」と説明。すると電話口から夫が「ほらまた謝った! やっぱり虐待してるんじゃないの?」と決めつけてきたのです。
そこで私はようやく気づきました。息子は姉が大好きで、写真や物を指さしては「これねーね?」と質問するのが日常。しかし舌っ足らずな二歳児の発音は「ごめんね」に聞こえてしまったのだと。義母はそれを誤解し、夫に伝えたのでした。
事情を説明すると夫は「あっそ! ならいいんだけど」と言い残し、ブツリと電話は切れたのです。
静かな決意
義母の言葉ばかりを信じて育児に関わろうとしない夫、嫁いびりを続ける義母、そしてそれを見て見ぬふりをする義父。私はこの出来事をきっかけに離婚を決意しました。のちに分かったことですが、当時夫は不倫をしており、私と別れたいがために虐待の疑いを持ち出したのかもしれません。
今は子ども二人と三人家族で、穏やかな日々を過ごしています。成長した息子は今も姉が大好き。以前のように「これねーね?」とは言わなくなりましたが、「姉ちゃんは?」といつも気にかける優しい子に育っています。
夫からの“虐待容疑”の電話には大きく動揺しましたが、あの一件があったからこそ離婚を決断できました。どんな物事も長い目で見ればプラスに働くことがある。そう感じたエピソードです。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。