「子供見ておくよ」という夫の頼もしい言葉
寒気がするので体温を計ると「39.2」という数字。「ごめん、本当に無理。子供たちのこと、お願いできる?」リビングにいる夫に頼むと、彼は「おう、見ておくよ」と軽い返事。その言葉を信じて、私はベッドへ潜り込みました。
しかし、わずか30分後。4歳と2歳の子供たちが「お腹すいたー!」「ママ、遊ぼう!」と雪崩れ込んできました。リビングを覗くと、夫はスマホをいじってソファでごろ寝。
食卓には片づけられていない食器たち。足の踏み場もなく、おもちゃで埋め尽くされたリビング。床には子供たちがこぼしたお菓子のクズが散らばっています。
悲しみを超えた「静かな怒り」の沸点
「ねえ、見ててくれるって言ったよね? 」 フラフラになりながら抗議すると、彼はスマホ画面から目を離さずこう言い放ちました。「見てるけど、子供たちが勝手にお前のところに行ったんだよ。一緒に寝てれば治るだろ」
結局、私は朦朧とする意識の中で子供たちの相手をして、寝かしつけまでしました。リビングからは夫の笑い声と、テレビの音が聞こえてきます。悲しみを超えた怒りが、体温以上に熱くなるのを感じました。
高熱でうなされる夫へ贈る「お返し」
しかし、天罰は即座に下りました。翌朝、私が解熱剤でなんとか動けるようになった頃、隣のベッドで夫が「うぅー」とうめき声を上げました。見事に風邪がうつったのです。
「ちょっと動けそうにない。ポカリスエットと、冷えピタ買ってきて? あとお粥作って……」弱り切った声で懇願され、私は、昨夜の彼と全く同じトーンで、冷ややかにこう返しました。「大丈夫よ。一人で寝てれば治るでしょ?」
子供たちを連れて実家へ静養に向かう準備を始めると、夫は半泣きで頼んできましたが、時すでに遅し。自業自得という言葉を噛み締めながら、私は静かにドアを閉めました。
正座して待っていた夫の変化
3日後、ようやく熱が下がった私が帰宅すると、夫が正座して待っていました。「……本当に、ごめんなさい。俺がしていたのは『見てる』んじゃなくて、ただ『放置』してただけでした」
それからの夫は、私が少しでも体調を崩すと、スマホを置いて真っ先に行動するようになりました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:M.Mochizuki
大学卒業後、薬剤師として勤務。第二子の出産をきっかけに、ファイナンシャルプランナーやオンライン秘書などにも転身。それらの経験を経て、出会った人間模様や教訓を記事として執筆中。特に、夫婦関係や子育て、家族の在り方をテーマに生活者のリアルに寄り添うコラムを得意とする。