上司の「機嫌」で正解が変わる理不尽な日常
「何考えてるの?!」職場に響き渡る中村さんの声。私たちが震え上がるのは、その内容よりも、彼女の「その日の機嫌」で正解が180度変わる理不尽さでした。昨日は「任せる」と言った仕事を、今日は「なぜ勝手にやった」と罵倒するのです。
二面性に嫌気がさす現場
ところが、ひとたび電話が鳴り、相手がお客さまだと分かった瞬間、中村さんの声は甘く変わります。「あら、いつもお世話になっております。ええ、現場の教育は私が責任を持って……」その豹変ぶりに、私たちはうんざりしていました。
社外では「仕事ができる、頼れる女性上司」として通っている彼女。でも、その評価を支えているのは、彼女の気まぐれに振り回され、日々精神を削りながらフォローし続けている現場の人間なのです。
止まらない退職の連鎖
ある日、「中村さんがいる限り、もう無理です」一番の若手だった南さん(仮名・20代女性)が泣きながら辞表を出しました。それを皮切りに、中堅社員が次々と退職を希望。わずか数ヶ月で、現場の人間は半分にまで減ってしまいました。
「あなたのせいで現場が回らないのよ!」ある朝、中村さんがいつものように、自分のミスを私のせいにして怒鳴り散らしていたそのとき。背後には役員が立っていました。
傲慢な女王が突きつけられた最終宣告
相次ぐ退職と、残された社員による「実態報告」を重く見た会社が、ついに動いたのです。「中村さん、あなたのその『対外スキル』を、これからは一人で活かしてほしい。現場のマネジメントからは外れてもらいます」
下された辞令は、内勤への異動。それは事実上、窓際の事務作業への追放でした。「私がいないと現場が回らないって言ってるでしょ!」と叫ぶ中村さんの声に、耳を貸す者はもう誰もいません。
彼女が去った後の職場は、驚くほど静かでした。誰の顔色を伺うこともなく仕事ができる。これこそが、私たちが取り戻したかった「普通の日常」だったのです。
【体験者:30代女性・会社員、回答時期:2024年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:もちづき まいこ
大学卒業後、薬剤師として勤務。第二子の出産をきっかけに、ファイナンシャルプランナーやオンライン秘書などにも転身。それらの経験を経て、出会った人間模様や教訓を記事として執筆中。特に、夫婦関係や子育て、家族の在り方をテーマに生活者のリアルに寄り添うコラムを得意とする。