新婚生活の中で感じていたこと
私は結婚して、夫とふたり暮らしを始めたばかりです。これからふたりの時間を少しずつ重ねていく、そんな時期だと思っていました。
一方で夫は、もともと多趣味なタイプでした。週末になると、仲間とフットサルに行ったり、釣りに出かけたり……とにかく男友達と過ごすことが多かったのです。
私自身も、個人の時間が大切なのは分かっていました。ただ、(せっかく新婚なのに、ふたりの時間ってこんなに少ないものなのかな……)と、どこか引っかかる気持ちがありました。
うまく伝わらなかった気持ち
そのことは、何度か夫にも伝えています。でも返ってくるのは、いつも同じような言葉。「夫婦の時間も大事だし、友達との時間も大事でしょ!」悪びれる様子もなく、あっけらかんとした口調です。まだ子どももいないし自由に動ける今を楽しみたい、という考えのようでした。
ある日、私たちの共通の友人・里香ちゃん(仮名)と3人で食事をする機会がありました。そのときの会話の流れで、夫が軽い調子でこう言ったのです。「美奈がさ、俺のこと友達と遊びすぎって言うんだよ〜」「女子ってやっぱ、ずっと一緒にいたいものなの?」
冗談めかした言い方でしたが、私は(そういう話じゃないんだけどな……)と思いながら、うまく言葉にできず黙ってしまいました。
友人が言ってくれたこと
すると里香ちゃんが、少し考えるようにしてから口を開きました。「……それは人によると思うから、なんとも言えないけど」そう前置きしたあと、はっきりとこう言ったのです。「美奈ちゃんが『もっと一緒に過ごしたい』って言ってる気持ちに寄り添ってないことが、問題だと思う!」
その場の空気が一瞬止まりました。でも里香ちゃんは、そのまま変わらない明るさで続けました。「趣味の時間が大事なのもわかるよ?」「でもさ、夫婦になったんだから、ちゃんと歩み寄らなきゃダメじゃない?」彼女の言葉には、私たち両方に向けた思いやりと優しさを感じました。
夫に伝わった瞬間
その言葉で、私は初めて(ああ、私が今まで嫌だったのってそういうことなんだ……)と気持ちがはっきりしました。そして夫もまた少し驚いたように黙り込み、「……そっか」と小さくつぶやきます。何度伝えてもどこかすれ違っていたものが、ようやく伝わったような感覚でした。
それ以来、夫は少しずつ週末の過ごし方を見直すようになりました。毎回ではないですが、「今週は一緒に出かける?」と声をかけてくれる日も増えています。第三者の言葉で、こんなふうに気持ちが届くことがあるのだと感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。