自称“みんなの母”の藤本さん
営業部署で働いていた頃、職場に藤本さん(仮名・50代女性)という、“みんなの母”を名乗る女性がいました。面倒見がよく、困っている人がいれば声をかけてくれる一方、他人の言動を観察しては指摘するタイプ。
頼れるといえば頼れるのですが、そのぶん“見てます感”も強く、親身なのか監視なのか、たまに境界線が怪しくなるタイプの人です。
人のクセにはすぐ気づく
ある日、私のプレゼン後、藤本さんが「『えーっと』と何度も言ってたから、直すともっと聞きやすい」とアドバイスをくれました。自分では気づいていなかったので、ありがたい指摘。ただ、藤本さん自身プレゼン中に「まぁあの」を連発する癖があり、5分で何十回も言うことは皆の共通認識でした。
別の日には「あの人、会議で自分の順番が終わったら居眠りしてた」と他の社員のことを言いふらしていたのですが、実際会議中に資料を読むふりをして居眠りしているのは藤本さんのほうだと、これまた全員が気づいていました。
説得力を吹き飛ばした出来事
極めつけは、社員向けの交通安全研修。最後にコメントを求められた藤本さんは「若い営業社員は運転経験も浅く、運転中に電話がきて焦ったりと、事故を起こす可能性があるので気を付けてね」と語りました。
しかしその2日後、なんと藤本さん自身が、田んぼのあぜ道で対向車とぶつかり、サイドミラーが取れたまま会社に車で戻ってきたのです。
人を注意する前に必要なこと
当然、「ミラーがないまま運転なんて危なすぎるし、道交法違反。研修受けたでしょ」と上司にこっぴどく叱られました。藤本さんも反省し、それ以降は人に何かを指摘する際「私もできてないときもあるけど……」と前置きをするように。
人に何かを言う前に、自分も同じことをしていないか振り返るのはとても大事だと感じました。正論そのものよりも、「それを誰が言うか」の説得力は、思っている以上に大きいのかもしれません。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Rio.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。