我が家に犬が仲間入り
数年前の出来事です。大切な友人が飼っていた犬を引き取りました。名前はココ(仮名)。2歳の女の子です。友人は、急な引っ越しによる家庭の事情で飼えなくなったそうです。私は犬が好きなので、喜んでココを受け入れました。
ココはフレンチ・ブルドッグという犬種で、見た目が特徴的です。ぺちゃっと潰れた鼻に黒々とした短い毛並み。しっぽは数センチほどで、無いに等しいくらいの短さです。山奥に住んでいる私の周りでは、見たことがないタイプの犬でした。
イノシシ注意報
しばらくして、町内会の知人からこんな話を聞きました。「最近、A公園にイノシシが出ているらしいわよ。お宅のワンちゃん気をつけてね」
A公園と言えば、ココお気に入りのおさんぽコース。愛犬がイノシシに襲われるなんてたまったもんじゃありません。次の日からさっそく散歩コースを変更し、B公園に通い始めました。
まさかの正体
ところが後日、再び知人から思いがけない話を聞いたのです。「前に話したイノシシ、最近はB公園に出てるらしいわよ」その瞬間にハッとしました。もしかしてうちの子、誰かにイノシシと間違えられている……?
ココは走るのが大好きです。短い足を素早く動かし、低い姿勢でドドドドッ!! と走る姿は、何かとんでもないものが向かってくるような迫力があります。そんなココが猛スピードで走る姿は、確かに「黒いかたまり」にしか見えません。当時は犬種の珍しさもあり、子イノシシと勘違いする人がいてもおかしくなかったと思います。
私は知人から情報の出どころを聞き、そのお宅に謝罪へと向かいました。さらに当分のあいだは町内をおさんぽすることに。イノシシではなく、飼い犬だと理解してもらうためです。
クスッと笑えるあだ名
ココはいつしか、近所の人たちから「イノシシわんちゃん」と呼ばれるようになりました。余計に誤解を生みそうなあだ名には、思わず苦笑い。今ではすっかり馴染み、周りに愛されながらおさんぽを続けています。
【体験者:50代・主婦、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:S.Takechi
調剤薬局に10年以上勤務。また小売業での接客職も経験。それらを通じて、多くの人の喜怒哀楽に触れ、そのコラム執筆からライター活動をスタート。現在は、様々な市井の人にインタビューし、情報を収集。リアルな実体験をもとにしたコラムを執筆中。