小学生でもスマホを持っている割合は年々増加傾向。自分用のスマホを持っていない子も、習い事の時間だけ親のスマホを持ち歩く、ということも。中には合宿中に、コーチに内緒でスマホを持っていく子もいるようで……今回は私のお客様の、ヒヤッとするエピソードをご紹介します。

初めての合宿

私には小学3年生の息子Tがいます。Tはサッカーがとても上手で、高学年用の合宿に特別参加できることになりました。

初めての合宿に不安を覚えた私は、禁止されていたにもかかわらず、コーチに内緒でスマホを持たせ「何かあったらすぐにLINEしてね」と念を押して送り出しました。

息子からのLINE

その日の夜、Tから「水」とだけ書かれたLINEが届きました。誤送信かと思いつつも胸騒ぎがして、「どうしたの?」と返信しましたが、返事はなく、既読もつかず。

過保護だと思われてもいいと、私は合宿先に電話をかけました。監督は「とても頑張ってますよ!」と答え、「今、本人に電話を変わりますね」と言うと保留音が流れました。

しかし、保留音が止み、聞こえてきたのは息子の声ではなく、「大変申し訳ありません! T君が軽い脱水症状を起こして医務室に運びました」と告げるコーチの声だったのです。

LINEのお陰で

練習中は水分補給できていたものの、夕食以外で水を飲まず、入浴後に脱水状態になっていたとのこと。同室の子どもたちは、Tがただ疲れて眠っていると思い、起こしては可哀想だと声をかけずにいたようでした。

もしLINEがなかったら、もし電話をしていなかったら……そう考えるとゾッとしました。私は合宿から早退させることも視野に入れましたが、回復したTは「最後まで参加したい」と希望。本人の意向を優先し、私は水筒を届けるために数時間かけて車を走らせました。元気そうな姿を見てようやく安心できたのです。

引き出しの中のスマホ

「ちゃんと水分補給してね。また何かあったらLINEして」と伝えると、「スマホは禁止だから持ってきてないよ」とT。不思議に思いながら帰路につきました。

帰宅後に確認すると、確かにスマホは勉強机の引き出しにしまわれたまま。それでも私のLINE履歴には息子から「水」のメッセージが残っていました。

小学三年生からスマホを持たせることに、早すぎるのでは、とマイナスな感情を抱くこともありましたが、この時ほどスマホを持たせて良かった、と思ったことはありません。実際には息子はスマホは”持って”はいなかったのですが。

息子を救ったのは、不思議な一通のLINEであり、母親の直感と行動力が重なったことで危機を回避することができたのです。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。