カラオケには毎日様々なお客様がご来店されます。歌う以外にも、カフェ感覚ご来店される方、仮眠される方、カードゲームをする方など来店目的は人それぞれ。中には仕事中に来られる方もいるようで……カラオケ店に勤務する、私の友人の体験談をご紹介します。

スーツ姿のお客様

私が働くカラオケ店は、フードメニューは基本的に冷凍食品をレンジで温めて提供するスタイルです。そんな職場に、営業職らしい常連のお客様Sさんがいます。ランチ休憩がてら来店され、フードを注文しながら個室でパソコン作業をしている姿が印象的でした。

会計時に「お仕事お忙しそうですね」と声をかけると、「ここは充電もできるし、個室だし、フードもおいしいから穴場だね」と笑顔で返してくれ、それ以来少しずつ会話を交わすようになりました。

至急のオーダー

ある日、いつものようにランチタイムにご来店されたSさん。個室に入るなり、すぐに電話で「早く持ってきてほしい」とフードの注文が入りました。

私は「温めますので少々お時間を……」と言いかけたところ、「冷たくていいから! むしろ凍っていてもいいから!」と返されたのです。よほど急いでいるのだろうと思い、いつもの半分の温め時間で提供しました。

急ぎの理由とは

その後、すぐに退店されるかな、と思いきや、いつも通りゆっくりと会計に来たSさん。「すぐに提供してくれてありがとう。次はもっと冷たくてもいいから、もっと早く持ってきてもらってもいいかな?」と笑顔で言いました。

私は驚いて「凍っていてもいいんですか? お腹壊したりしませんか?」と尋ねると、Sさんは「実は冷凍のままのごはんが好きなんだ。アイスみたいでおいしいんだよ」と打ち明けてくれたのです。

特別な提供時間

それ以来、Sさんのオーダーは温め時間を短くして提供するようになりました。ランチタイムはフードの注文が集中しますが、Sさんの“時間短縮術”のおかげで他のお客様への提供も少し早くなり、スタッフ側にも思いがけないメリットが生まれたのです。

人の好みは本当にさまざま。冷凍食品を“冷凍のまま”楽しむという独特な好みを持つSさんとの出会いは、接客の奥深さを教えてくれました。

【体験者:40代・パート勤務、回答時期:2026年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。