職場でよかれと思ってやっている行動が、現場のプロにとっては大迷惑だった……なんて経験はありませんか? 今回は、職場で「気が利くアピール」を欠かさない後輩が直面した、ハッとさせられるエピソードをご紹介します。本当の気配りとは何か、考えさせられる出来事でした。

退勤前の日課。後輩の過剰な気遣いアピール

職場の後輩は、仕事熱心なのは良いのですが、周囲への「気が利くアピール」が少し過剰なところがありました。

例えば、上司が通るタイミングを見計らって大きな声で「〇〇部長! デスク拭いておきました!」と報告したり、会議のお茶出しでもわざわざ全員の顔を見て「淹れましたよ〜!」とアピールしたり。そんな後輩が毎日退勤前に欠かさず行っていたのが、オフィスのゴミ箱の片付けでした。

まだ半分しか入っていないゴミ袋を……

後輩は「翌朝みんなが気持ちよく使えるように」と、まだ袋に半分しかゴミが入っていなくても、新しい袋に交換していました。そして、取り出したゴミ袋の口を「絶対にほどけないように」と、ギュウギュウに固く縛ってまとめるのが日課だったのです。

「〇〇さん、いつも最後にゴミをまとめてくれてありがとうね」と声をかけられると、後輩は「いえいえ! これくらいのお手伝い、当然ですから!」と少し得意げな様子。

しかしある日の夕方、ビルの清掃を担当している年配の女性スタッフが、困った表情で私たちの部署へやってきたのです。

清掃スタッフから明かされた衝撃の事実

清掃スタッフの女性は、後輩がいつものように固く縛ったゴミ袋を指差しながら、控えめな口調でこう切り出しました。

「いつもゴミを綺麗にまとめてくださって本当に助かるんですが……実は、この事業系の指定ゴミ袋って1枚のお値段がすごく高いんです。ですから私たちは、フロア全体の各部署から出たゴミを、大きな一つの袋にパンパンになるまでまとめてから捨てているんですよ。でも、こうして事前に固く口を縛られてしまうと、私たちがわざわざ袋を破いて開けなきゃいけなくて、逆に手間がかかってしまって……」

本当の気配りとは

なんと、後輩の「気が利くアピール」からくる行動は、清掃スタッフの方の作業工程を増やし、高い指定ゴミ袋も無駄にしてしまう迷惑なことだったのです。

よかれと思って毎日これ見よがしに縛っていた後輩は、「本当にすみません! そんな事情があるとは知らなくて……」と顔を真っ赤にして平謝りし、すっかり撃沈して沈黙してしまいました。

自分の評価を上げるためだけでなく、次の人がどう動くのか、相手の作業工程や背景まで想像することこそが本当の意味での気配りなのだと、横で聞いていた私も強くハッとさせられた出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:北山 奈緒
企業で経理・総務として勤務。育休をきっかけに、女性のライフステージと社会生活のバランスに興味関心を持ち、ライター活動を開始。スポーツ、育児、ライフスタイルが得意テーマ。