真面目で丁寧な性格の私の知人・中谷さん(仮名)。仕事上のメールのやりとりは、いつも正しい日本語で失礼のないように特に気をつけているそうです。ところが、ある日取引先の方から「文章が怒っているのかと思った」と言われ……そのひとことで、中谷さんが初めて気づいたこととは!?

正しい日本語、丁寧なメール

私は昔から真面目な性格で、言葉遣いにもかなり気を配るタイプです。仕事のメールも、必ず「いつもお世話になっております」から始め、「承知いたしました」「何卒よろしくお願いいたします」で締めるようにしています。

社会人として失礼のないように、できるだけ丁寧で正しい日本語を使うようにしていたのです。ところが、ある取引先とのやり取りで少し戸惑うことがありました。

取引先のメールの雰囲気

取引先の担当者・田中さん(仮名)のメールは、いつも少し雰囲気が違います。「了解しました!」「ありがとうございます〜!」という、どちらかというとフランクな書き方だったのです。

私は返信を書くたびに悩んでいました。(私も「了解しました!」って返すべき? でも「承知しました」のほうがいいよね……)そして結局、いつも通りに返していました。

打ち合わせで思わぬひとこと

そんなやり取りが続いたある日、対面で打ち合わせをする機会がありました。仕事の話が終わり、少し雑談をしていたときのことです。田中さんが笑いながら言いました。「中谷さん、メールめちゃくちゃ丁寧ですよね」「最初、怒ってるのかなって思ってました!」

私は思わず固まってしまいました。正しい日本語を使っているつもりだったのに、相手には堅苦しく見えていたのだと、そのとき初めて気づいたのです。「失礼のないように……と思って」と答えると、田中さんは慌てて手を振りました。「いやいや、そんなに構えなくて大丈夫ですよ!」

温度感を合わせるということ

今まで私は、『正しい日本語』を守ることが相手への配慮だと思っていました。でも田中さんが求めていたのは、正確さよりも『同じ温度感』だったのかもしれません。

次のメールを書くとき、私は少し勇気を出して「承知いたしました!」と書きました。人生で初めて、仕事のメールに感嘆符をつけた瞬間でした。送信ボタンを押す前は、(軽すぎないかな……?)と少し迷いました。それでも思い切って送信すると、田中さんからすぐに返事がきました。「いいですね、その感じ!」

その一文を見たとき、私はほっとしました。正しい言葉遣いももちろん大切ですが、相手の温度に合わせることもまた、大切なコミュニケーションなのだと学んだ出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。