おもちゃは『特別な日』に
私には5歳の娘がいます。わが家では、娘におもちゃを買うのは『誕生日』と『クリスマス』にしようと決めています。もらったものを長く大切にしてほしい。そして、本当に欲しいものをウキウキしながら待つ時間も大切にしてほしいと思っているからです。
夫婦で話し合って決めたルールですし、娘も理解してくれていて、毎年のイベントとして楽しみにしていました。
ママ友からの「可哀想」
ある日、ママ友の美久さん(仮名)と子どもたちを連れて遊びました。美久さんの息子はミニカーを持っていて、「こないだお買い物行ったときに買ってもらったんだ〜!」と楽しそうに見せてくれます。それを聞いた娘は、にこにこしながら言いました。「わたし、今度お誕生日にお人形買ってもらうんだ!」
すると、その会話を聞いていた美久さんが言いました。「娘ちゃんの誕生日、まだ先じゃないの?」「それまで我慢させるのは可哀想だよ〜」と。悪気はなさそうでした。
でも私は、少しモヤっとしてしまいました。家庭ごとに考え方は違うと分かっていても、自分のやり方を否定されたような気がしたのです。結局その場では、私はなにも言わずに話を流しました。
あの日の言葉の理由
それから数か月後。久しぶりに美久さん親子と会うことになりました。娘は約束通り誕生日に買ってもらったお人形を嬉しそうに抱えていて、服を着せ替えたり名前をつけたりしながら夢中で遊んでいます。
その様子を見ていた美久さんが、ふと口を開きました。「この間、ごめんね。ずっと気になってたんだ……」そして少し照れたように続けました。「私、小さい頃あんまりおもちゃ買ってもらえなくてさ。だから、自分の子には我慢させたくないって思っちゃうんだよね」その言葉を聞いて、私は少し驚きました。
それぞれの考え方
あの日の「かわいそう」という言葉の裏には、美久さん自身の経験と、その当時の気持ちが込められていたのかもしれません。
おもちゃを買うタイミングも、子どもへの向き合い方も、それぞれ違います。でもどちらも、子どものことを思っていることには変わりありません。そう考えると、あの日感じたモヤモヤも少し和らいだ気がしました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。