優秀なのに社員にならない同僚
会計事務所に勤務していたころの話です。同い年の契約社員、石井さん(仮名・女性30代)がいました。石井さんはとにかく仕事が早く、ミスも少ない優秀な人。コツコツ努力するタイプで周囲からの信頼も厚く、社員と同じくらい頼りにされていました。
私はそんな石井さんを見て「これだけ仕事ができるのに、どうして社員にならないんだろう?」と感じていました。
社員の打診をきっぱり辞退
ある日、上司が石井さんに「来期から社員になりませんか?」と正式に打診。実力を考えれば当然の流れです。しかし石井さんは迷う様子もなく「すみません、今回は遠慮します」ときっぱり辞退しました。しかも上司は驚くどころか、「やっぱりだめか」と苦笑い。
後で聞くと、石井さんが社員の打診を断るのは3回目だそうです。その迷いのない断り方が印象に残りました。
石井さんのもう一つの仕事
思い切って理由を聞いてみました。すると石井さんは少し笑いながら、「実は大学のときロシア語を勉強していて、今も副業で通訳の仕事をしているんです」と教えてくれました。
しかもロシア語を話せる日本人が少ないため、通訳の時給は英語の通訳の約6倍になることもあるそう。その話をしている石井さんは、どこか生き生きとしていて、とても楽しそうでした。
自分に合った働き方
社員になると勤務時間の自由がなくなり、副業との両立が難しくなるそうです。だからこそ石井さんは、あえて契約社員という働き方を選んでいるのだとか。その話を聞いた周囲は思わず「それならそっちをやったほうがいいよね!」と納得していました。
会社の肩書きより、自分の得意なスキルを活かして働く。石井さんの話を聞いて、働き方は一つではないのだと改めて感じた出来事でした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2022年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Rio.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。