日本語ゼロから始まったバイト生活
私の大学時代、留学で来日していた友人に、韓国人のキム君(仮名)と、中国人のクィン君(仮名)がいました。2人はほぼ日本語ができない状態で来日し、勉強のためにとそれぞれ大手ファストフード店でアルバイトを始めました。
店舗は別でしたが同じチェーン店だったため、互いに励まし合いながら頑張っていた2人。勤勉で努力家だったため、日本語もすぐ上達し、真面目で優しい性格もあり接客態度も高く評価されました。
努力が実り、バイトリーダーに
3年生になる頃には、2人揃ってバイトリーダーに。大学の授業やゼミも忙しい時期でしたが、それでも2人はいつも一生懸命。学生生活もアルバイトも全力で取り組んでいました。
その姿を見て、周囲の学生たちも「自分も頑張らなければ」と襟を正すほど。まさに努力で信頼を勝ち取った2人でした。
店長からの“社員スカウト”
4年生の夏ごろ、2人はそれぞれの店長から「卒業後、このまま社員にならないか」と誘われました。周囲の友人は驚きます。「そこまで評価されるのはすごい」「大手だしこのまま就職するのもいいのでは」と、肯定的な声も多くありました。
日本で努力して結果を出してきた2人なら、きっと立派な社会人になるだろうと、皆が思っていました。
それぞれが選んだ“次の人生”
ところが2人は、その誘いをあっさり断ります。キム君は「卒業後すぐ兵役があるので帰国します」と。クィンくんは、中国で父親が大きな会社を経営しており、「帰国して婚約者と結婚し、父の事業を継ぎます」とのこと。周囲はその話を聞いて、2人の進む道が自分たちの想像以上に多様であることに驚きました。
「大企業の社員になること」だけが成功ではない。日本語も接客も努力で身につけ、周囲から信頼されていた2人なら、どんな環境でもきっと活躍していくはず。少し寂しさを感じながらも、私たちは2人の新しい門出を心から応援しました。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Rio.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。