新人時代は、誰もが大小さまざまな苦労を経験するもの。資料作りに追われたり、打ち合わせで言葉を選んだり、時には先輩やクライアントとのやり取りに悩むことも……。今回は広告代理店で働く筆者の友人、山本さん(仮名)が、新人時代に体験した「ちょっと笑えて、でもどこか共感できる」よくある新人エピソードをご紹介します。

「新人」の一言で変わった空気

入社して最初のクライアントとの打ち合わせでのことです。会議室に入ると、先方の担当者はにこやかに名刺を受け取り、軽く目を通したあとでこう言いました。「新人さんなんですね」

緊張しながら「はい、新人です」と答えると、空気がふっと変わったのを感じました。

丁寧すぎる説明に戸惑う

打ち合わせが始まると、先方の説明は驚くほど丁寧でした。「CPAとは、広告費をかけて1件獲得するのにかかる費用のことです」「インプレッションは表示回数、リーチは実際に届いた人数でして……」

私は心の中でつぶやきました。「ありがたいけど、それ知ってます。」実はその資料、昨日まで自分で作っていたのです。でも「新人です」と言った手前、黙ってうなずくしかありませんでした。

新人だからこそのギャップ

打ち合わせ終盤、先方が話を振ってきました。「若い方の意見も聞いてみたいですね」私は即座に具体的な改善案を提案しました。「今回のターゲット層だと、従来型の運用よりショート動画寄りの設計にした方が、CPAは下がると思います」

一瞬、空気が止まりました。さっきまで丁寧に説明されていた新人が、具体的な提案をしたからです。先方からも「新人さん、しっかりしてますね」と評価されました。

ハンデを武器に変える

帰り道、私は笑いながら思いました。「新人ですと言うと、全部ひらがなになるんだよね」配慮だとわかっていても、肩書きだけで見られるもどかしさはありました。でも、その一言があったからこそ、実力を示した瞬間のギャップはより強く印象に残ったのです。

新人というハンデは、力を示せば最大の武器になる。そう実感した経験でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:miki.N
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。