卒業時や退社時にもらう“寄せ書き”。温かい言葉で埋め尽くされた寄せ書きをもらったら、思わず涙してしまうでしょう。ましてや長年勤務した園児からの寄せ書きならなおのこと。泣きながら帰宅した先に待っていたものとは……今回は、保育士をしていた友人の体験談をご紹介します。

不眠症からの再出発

私は保育園で勤務中、激務が原因で不眠症を発症。退職を余儀なくされました。そんな折、病院での、深夜勤務の保育士募集を見つけたのです。

思い切って応募したところ、無事採用、すぐに出勤することに。新しい環境で働ける喜びは大きかったものの、私は大の怖がり。深夜の大きな病院で幽霊が出るのではないかと、不安でいっぱいでした。

温かな職場

深夜勤務の保育士は私を含めて2名。ペアになる先輩は皆優しく、「お化けなんていないから大丈夫!」と明るく励ましてくれました。

時々、物が落ちたりラップ音のようなものが聞こえたりしましたが、それ以上の怖い経験はなく、平和な日々が続きました。園児たちは皆かわいく、次第に私はこの職場が大好きになっていったのです。

最終出勤日

数年勤めた後、結婚を機に退職することになりました。最後の夜勤明け、園児や先輩から寄せ書きやプレゼントをもらい、私は号泣。その拍子にコンタクトレンズが破れてしまったのです。私は車通勤でしたが、その日に限って眼鏡を持っておらず、病院近くに住む祖母に連絡して泊めてもらうことに。

朝早く祖母の家を訪ね、「こんな早い時間にごめんね、おばあちゃん」と声をかけると、祖母は無言で私の頭に大量の塩をふりかけました。そして「この子についてきたらあかん。あんた達はあんた達の場所に行きなさい。この子に何かしたらただじゃおかないよ」と、普段の温厚な祖母からは想像できない激しい口調で誰かに語りかけたのです。

そばにいたのは

家に入ってから祖母に事情を聞くと、「たくさんの子供の霊がついてきていた。優しいあんたとお別れしたくなかったみたい」と真顔で答えました。私は数年間一度も幽霊を見たり心霊体験をしたことはありませんでしたが、やはり彼らは身近にいたのだと背筋がゾッとしました。

もし寄せ書きで号泣していなかったら、もしコンタクトが破れなかったら、祖母が電話に出なかったら――偶然の重なりが私たちを悪いものから守ってくれているのかもしれません。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。