社会人になり金銭感覚が変わった方は多いのではないでしょうか。大人には小銭に思える金額も学生にとっては大金。ましてや小学生にとってはなおの事。もし、小学生が1万円札を片手に帰宅してきたら……今回は私のお客様の、お金にまつわるエピソードをご紹介します。
1万円札と帰宅した息子
私には小学1年生の息子がいます。ある日息子が「1万円ゲットした~これでゲーム買える~」と1万円札をひらひらさせながら帰宅してきたのです。私は驚き、「どこで拾ったの?!」と問い詰めると、彼は有頂天から一転して「くじで当たった」と言いました。
奔走
「どこのくじ?」とさらに聞くと「駄菓子屋」と答える息子。私は「嘘をついていたら承知しないからね!」と告げ、息子と二人で駄菓子屋へ向かいました。しかし店主は「そんなくじは存在しない」と断言。
すると息子は「友達に勝って、もらった」と供述を変えました。万が一、友達のお金を取ってしまったのなら大変だと、すぐにその家へ直行しましたが、親も本人も1万円のことは知らないと言います。
私や夫の財布から盗ったわけでもないと主張する息子。私はお金の管理が甘く、財布の中身を把握していなかったため、真相が見えず困惑してしまいました。
交番へ
何度も「本当のことを教えて」と懇願すると、今度は「道で拾った」と息子。私は半泣き状態で「もう警察に行こう」と決意し、交番へ行きました。交番にいた警察官は、動転している私を見て息子と私を別室に案内。
そこで息子は涙ながらに真実を告げたのです。「1万円は偶然帰り道で会ったおじいちゃんにもらった。でも内緒だぞって約束したから言えなかった。バレたらおじいちゃんが怒られると思った」と。警察官はその内容を静かに私に伝えてくれました。
警察官の一言
私は「家庭内の小さなトラブルで警察に来るな」と叱られると思いました。しかし警察官は「おじいちゃんとの約束を守ろうとした息子さんも頑張ったし、息子さんの言葉を信じて駄菓子屋やご友人宅に足を運んだお母さんも頑張った。また困ったことがあったらいつでも来てください」と言ってくれたのです。
その言葉に緊張の糸がほどけ、私は涙をこらえることが出来ませんでした。その様子を見ていた息子もまた涙。警察官は私達が泣き止むまで優しく寄り添ってくれました。以来、息子はお小遣い帳をつけてお金の管理を学ぶようになり、私も昔からやろうと思っていた家計簿をついに始めることができたのです。
親子で経験したこの出来事は、信頼と成長を育む大切なきっかけとなりました。旅行に行ったり特別なことをしなくとも、日常の中に家族との絆を深めるタイミングはあるのです。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。