私の知人・野口さん(仮名)が働く美容室では、施術中のサービスとしてお客さんにドリンクを提供しているそうです。それを楽しみにしてくれている方も多いのですが、たまに思いがけないリクエストもあるようで……野口さんを驚かせた、常連の女性客からの意外な要望とは!?

ちょっとした楽しみのサービスドリンク

私の勤める美容室では、施術中にドリンクサービスを行っています。紅茶、緑茶、コーヒー、ジュースなど種類もいくつかあり、「ここに来るとこれが楽しみなの」と言ってくださるお客さんも少なくありません。

私を指名して通ってくれている60代の常連客・太田さん(仮名)もそのひとりです。来店されるたびに、ドリンクを選ぶ時間を楽しみにしていました。

少しずつ増えていくリクエスト

最初は「コーヒーお願いします」と、ごく普通の注文でした。それが次第に、「コーヒー、濃いめでお願い!」「今日はちょっと冷えるから、熱めがいいわね〜」といったリクエストが増えていきました。

できる範囲であれば対応できますし、私は「はい、少し濃いめですね」と素直にお応えしていました。美容室で過ごす時間が心地よいものになればいいな、という気持ちだったのです。

まさかの要望と、その理由

ところがある日、カットの最中に太田さんがカップを口にしながら、「ここのコーヒーって、少し酸味強めよね〜」「豆変えられない? 深煎りはないの?」と、さらりと言います。

その瞬間、私は思わず(ここ、喫茶店じゃなくて美容室なんだけど……?)と頭の中でつぶやいてしまいました。もちろん表情には出さず、「申し訳ありません、豆の変更は難しくて……」とやんわりお伝えしました。

すると太田さんは「そうなのね〜」「深煎りの方が胃の負担が少ないってどこかで聞いたから、ついね。最近健康気にしてるから」とあっさり笑って言ったのです。

想定外から広がった会話

それ以来、太田さんは「今日は少し濃いめでね」と注文しつつも、最後に「無理ならいいのよ〜」とひとこと添えてくださるようになりました。

「豆変えられない?」はさすがに想定外でしたが、この出来事をきっかけに、健康の話や食事の話など、これまで以上に会話が広がるようになりました。

美容室でのひとときは、髪を整える時間でもあり、おしゃべりを楽しむ時間でもあります。あの日の会話は、私にとって少し忘れられないエピソードになっています。

【体験者:30代・女性美容師、回答時期:2025年10月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。