歳は取りたくないと思っていても、何歳になっても、もらうとやっぱり嬉しいバースデーケーキ。もらった時、嬉しいのは確かなのに時が経つと何味のケーキをもらったか記憶があいまいになってしまいがち。あなたは何年前のケーキまで、味を覚えているでしょうか?
娘の記憶力
私は長い不妊治療を経て、ようやく女の子を授かりました。ある日、3歳になる娘に「今年のバースデーケーキは何味にする?」と尋ねると、「イチゴはこの前やったから、チョコがいい」と即答。
私が「ちなみにその前は何だったか覚えてる?」と聞くと、「バナナ(1歳時)、その前はヨーグルト(0歳児)」と正確に答える娘。私は思わず感心しました。
“リンゴのケーキ”
娘は続けて「その前はリンゴのケーキ。でも食べられなくて残しちゃってごめんね」と語りました。私は甘いものが苦手で、自分の誕生日にケーキを用意したことはありません。どうしてそんなことを言ったのか不思議に思いながら、特に気にはしていませんでした。
後日、実家に帰省した際に母へこの話を伝えると、涙を流し出す母。どうしたの? と尋ねると、「モチ(愛犬・仮名)の最後のバースデーケーキがリンゴだったの」と涙ながらに教えてくれたのです。
誰の記憶
私は「写真を見たのでは?」と考えました。しかし、モチの最後の誕生日、祖母の病院から急遽呼び出しがあり、写真を撮る余裕はなかったと語る母。つまり娘がリンゴのケーキを知る手がかりは存在しないのです。
思い返せば、布団よりもソファで眠るのを好んだり、庭のホースを追いかけるのが好きだったりと、愛犬モチと似た行動がいくつもありました。偶然と言えばそれまでですが、娘はモチの生まれ変わりなのではないかという思いが私の中に芽生えていったのです。
可能性
生まれ変わりは長い年月を経て起こるものと考えていましたが、数年で生まれ変わることもあるのかもしれません。長くつらい不妊治療を支えてくれたモチが、娘として再び私の前に現れてくれたのだとすれば、それはまさに奇跡。
生まれ変わりの真偽は分かりませんが、娘と過ごす日々の中にモチの面影を感じられることが、私の人生をより一層、優しく照らしてくれるのです。改めて、日常の小さな瞬間を大切に積み重ねていこうと心から感じることのできたエピソードです。
【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年2月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。