「射手座」という名の運命共同体
職場の1つ上の先輩、友恵さん(仮名)は大の占い好き。同じ部署全員の星座を完璧に把握しています。ある日、友恵さんと私が同じ「射手座」で、しかも誕生日も同じと判明。それ以来、友恵さんは私をまるで「運命共同体」と決めつけて接してくるようになったのです。
「射手座は今日、パスタがラッキーアイテムだって。ランチはパスタに決まりね!」朝一番に「今日の運勢」を教えてくれるのが、彼女の日課でした。
逃れられない「射手座」の呪縛
それくらいなら良かったのですが、次第に「射手座だから」を枕詞に、私の性格や行動まで決めつけるように……。
「私たち射手座って、熱しやすくて冷めやすいじゃない?」「射手座って思い立ったら即行動よね」私は心の中で「星座だけで決めつけられても……」と違和感を感じつつも、角を立てないよう曖昧に笑って過ごしていました。
違和感の限界
ある時、職場で任意参加の親睦バスツアーが企画されました。私は仲の良い同期たちと参加することに。一方、不参加の友恵さんは、当然のように私に同意を求めてきたのです。「美由さんも不参加よね。私たち、束縛を嫌う射手座だもの。集団行動なんて苦痛なだけよね」
その瞬間、胸の奥に積もっていた違和感が、音を立ててはじけました。「私は参加します。バスツアー、とっても楽しみです」はっきり宣言した私に、友恵さんは驚いた様子。
少し間を置いて、「……そう、参加するの。意外ねぇ。私はB型で美由さんはA型だから、その違いかしら?」すかさず私は、「私、AB型です」と返したところ、友恵さんはそれ以上何も言わなくなりました。
呪縛からの解放
親睦バスツアーは、普段話す機会のない方々とも交流でき、最高に楽しい一日でした。あれ以来、友恵さんの「射手座だから……」は影を潜め、「運命共同体」も解散。私は気持ちが軽くなりました。
占いを信じるのは自由です。けれど他人の行動や選択まで決めつけるものではありません。私は、誰かの言葉や占いに縛られず、自分の意思で行動する当たり前の幸せを実感したのでした。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:Sachiko.G
コールセンターやホテル、秘書、専門学校講師を歴任。いずれも多くの人と関わる仕事で、その際に出会った人や出来事を起点にライター活動をスタート。現在は働く人へのリサーチをメインフィールドに、働き方に関するコラムを執筆。