24時間365日営業しているコンビニエンスストア。毎日老若男女、様々な客層の方が来店されます。中には理不尽な文句を言ってくる方も……これはコンビニに勤務する友人から聞いた、変わったお客様のエピソードです。

日常風景

私はコンビニで働いています。ビニール袋が有料になってから、エコバッグを持参する人が増えましたが、コンビニではまだ袋を購入する方が多いのが現状。

そのため「冷たいものと温かいものを同じ袋に入れますか?」と尋ねると、以前より「はい」と答える人が増えたように感じています。袋代を節約したい気持ちと、環境への配慮が重なっているのでしょう。

主張する“エコ”

そんな中、私の勤務先には少し変わったお客様がいました。その方は「冷たいものと温かいものを一緒に」という一般的な要望ではなく、「肉まんとからあげを同じ袋に」「焼き鳥とからあげ串を一緒に」といった注文をされるのです。専用の小袋はサイズ的に二つ以上を入れるのが難しく、私は「味が移ってしまいますが……」とやんわり断ることもありました。

しかしお客様は「大丈夫! エコだから!」と強く主張し、どうしても一枚の袋にまとめたがるのです。空いている時間なら対応できますが、ピーク時には正直、別々に入れた方が楽だと感じていました。

響き渡る怒号

ある日の昼食時間帯、店が混み合っている中でそのお客様がご来店。いつものように「肉まんとからあげ串、同じ袋で!」と注文。スタッフが「この袋は無料ですし、別々にお入れしますね」と対応すると、お客様は突然激怒。

「値段のことを言っているんじゃない! エコのことを考えて1枚にまとめろって言ってんだ!」と声を荒げ、「食う気が失せた!」と何も買わずに退店。店内は一瞬静まり返り、私も他のお客様もぽかんとするしかありませんでした。

エコの真相

数日後、私が近所の居酒屋で飲んでいると、隣の席から聞き覚えのある声が聞こえてきたのです。「最近コンビニでぶち切れちゃってさー」と話す声の主は、あのお客様。耳を澄ますと「ホットミールはいつも同じ袋に入れてもらうんだ。エコって言ってるけど、実はあの感じが好きなのよ。からあげ肉まん、焼き鳥からあげ串、みたいなさ。新商品開発してんだわ!」と告白。

つまり彼がこだわっていたのは環境でも節約でもなく、味の組み合わせを楽しむ個人的嗜好だったのです。とはいえ、レジで怒鳴る必要はありません。以来、そのお客様は私のコンビニに姿を見せなくなりましたが、正直なところ、私やスタッフはむしろ来なくなってほっとしているのです。

袋の有料化が広がる中、エコと利便性、そして人のこだわりが交差する場面は今後も続いていくのかもしれません。こだわりや嗜好は個人の自由ですが、“他人に迷惑をかけない範囲で”、と改めて気づかされました。

【体験者:30代・パート勤務、回答時期:2026年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:桜井ひなの
大学卒業後、金融機関に勤務した後は、結婚を機にアメリカに移住。ベビーシッター、ペットシッター、日本語講師、ワックス脱毛サロンなど主に接客領域で多用な仕事を経験。現地での出産・育児を経て現在は三児の母として育児に奮闘しながら、執筆活動を行う。海外での仕事、出産、育児の体験。様々な文化・価値観が交錯する米国での経験を糧に、今を生きる女性へのアドバイスとなる記事を執筆中。日本でもサロンに勤務しており、日々接客する中で情報リサーチ中。