『女の子』だと分かった日のこと
私は第一子を妊娠中で、つい最近お腹の子が女の子だと分かりました。その報告を聞いた夫は喜びつつも、なぜか少し落ち着かない様子でした。なにやら少し考えた後、夫は真顔で「女の子か……『丙午』って、やっぱりちょっと気になるな」と言ったのです。
『丙午』というのは干支の組み合わせのひとつで、昔から「気が強い女性が多い」「縁起がよくない」などと言われてきた年のことです。私はすぐに、「え? そんなの気にしなくていいって!」と返しましたが、夫は「親とか、周りが何か言うかなって……」と。どう見ても、本人がいちばん気にしている様子でした。
検索が止まらない夫
その後、夫はネットで調べたらしい話までし始めました。「迷信だけどさ」と前置きしつつも止まりません。私は内心で(そんなに不安になるなら調べなければいいのに……)と思いながら聞いていました。気にしなくていいと思いたいのに、どこか引っかかってしまう。そんな感じに見えました。
義母のひとことで空気が変わった日
後日、義実家を訪れたときのことです。お腹の子の性別の話題になり、夫がまた同じ調子で
「女の子なんだけどさ、丙午って言われることもあるみたいで……」と切り出しました。
すると義母が、少し呆れたように「あのね……私も『丙午』生まれよ。あんた、知らなかったの?」
と言ったのです。夫はきょとんとして「え!? そうだっけ!?」と、本気で驚いていました。
義母は続けて、「私、そんな怖そうに見える?」「楽しく暮らしてきたでしょ〜!」と畳みかけます。夫は「いや、それは……」と黙り込み、義母は満足そうに「強い女の子、いいじゃない! 私は毎日幸せに生きてるわよ〜」と笑い飛ばしてくれました。
軽やかに受け止める義母の強さ
その場は一気に笑いに包まれ、夫はそれ以上『丙午』の話をしなくなりました。私は横でそのやりとりを見ながら、こうやって軽やかに受け止めて、笑ってしまえる義母の強さがとても素敵だなと感じました。
迷信をどう捉えるかは人それぞれですが、少なくとも私は、目の前にいる義母の姿を見て何も心配はいらないと思えました。生まれてくる娘の人生が、楽しく幸せなものになればいいなと、改めて強く思った出来事です。
【体験者:30代・主婦、回答時期:2025年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
EPライター:辻 ゆき乃
調剤薬局の管理栄養士として5年間勤務。その経験で出会ったお客や身の回りの女性から得たリアルなエピソードの執筆を得意とする。特に女性のライフステージの変化、接客業に従事する人たちの思いを綴るコラムを中心に活動中。