職場には色々な世代や価値観・立場の人がいるもの。ときどき「親切のつもり」が空回りすることがあるかもしれません。良かれと思った言動が、少しずつ周囲の空気を重くしていく。これは、そんな“ズレた善意”が現場を疲弊させた実体験です。

架け橋役だったはずの存在

営業部署に勤務していた頃の話です。社員25名、派遣の事務担当者の女性が8名ほどいる部署で、その派遣さんたちをまとめる事務リーダー的な存在として、鎌田さん(仮名・50代男性)がいました。

社員と派遣の架け橋になる役割を担っていましたが、実際にはその独特なコミュニケーションの取り方と立ち位置が、少しずつ周囲を悩ませていきました。

冗談のつもりが価値観の押し付けに

若手社員の女性たち(20代)が業務に追われランチの時間をしっかりと取れずに自席でおにぎりを食べながら仕事をしている姿を見ると、必ず「おい~そんなところで昼飯食うなよ! 100年の恋も冷めるぞ、下品だぞ~」と声をかける。

派遣社員が仕事帰りに1人でラーメンに行った話をすれば、「うわぁ~女性が1人でラーメンはかわいげがないなぁ。男はそういうの引くからやめたほうがいいですよ」と茶化す。本人は場を和ませているつもりでも、受け取る側は戸惑うばかりでした。

善意の情報共有が生んだ混乱

またある時は、社員だけの会議内容を、鎌田さんから派遣さんたちに伝えた時のこと。まだ確定していない業務増加の話を、「給料は上がらないのに仕事だけ増えるって~」と告げ口のように共有し、現場の空気は一気に悪化。善意の情報共有が、不要な不安と不信感を広げてしまったのです。

誰からも頼られない人になる瞬間

結果的に、社員も派遣も鎌田さんをなんとなく避けるようになりました。誰も直接責めないけれど、誰も本音では頼らない存在に。配慮を欠いた親切は、信頼を積み重ねるどころか、静かに人を遠ざけてしまうのだと痛感した出来事でした。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2019年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:Ryoko.K
大学卒業後、保険会社で営業関係に勤務。その後は、エンタメ業界での就業を経て現在はライターとして活動。保険業界で多くの人と出会った経験、エンタメ業界で触れたユニークな経験などを起点に、現在も当時の人脈からの取材を行いながら職場での人間関係をテーマにコラムを執筆中。